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前国防相に阻まれた「海兵隊師団長調査」…職権乱用罪の可能性=韓国

登録:2024-05-04 07:43 修正:2024-05-04 09:06
国防部調査本部の補強調査要求に「再検討だけ」 
前国防相側「調査すれば誤解生じかねず…法務管理官の意見に従った」
昨年9月に開催された法制司法委員会の全体会議で、イ・ジョンソプ国防部長官(当時)が答弁している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 イ・ジョンソプ前国防部長官が、国防部の調査本部に海兵隊のC上等兵事件の再検討を任せながら、「イム・ソングン前海兵隊第1師団長らに対する補強調査は行うな」との趣旨の指示を出していたことが確認された。職権乱用罪の可能性があると指摘されている。このような指示を出した理由について、イ前長官側は「補強調査を行った場合、誤解が生じるため(補強調査を)しないよう指示した」と述べた。

 3日のハンギョレの取材の結果、イ前長官は昨年8月9日、国防部の複数の調査本部関係者を呼び、C上等兵事件の再検討を指示した。その場で調査本部の関係者は「必要ならイム・ソングンなど事件の関係者らを直に調査してもよいか」と尋ねたが、イ前長官は「再検討だけせよ」と指示した。

制限かけられた調査本部…「イム・ソングン容疑指摘」結局覆される

 追加調査を阻んだイ前長官が最終結論に影響力を行使していたこともうかがえる。同日、国防部のユ・ジェウン法務管理官はイ前長官の指示で「海兵隊の調査結果についての検討報告」と題する文書を調査本部に渡したが、この文書には事実上イム前師団長ら指揮部の容疑を特定するなという趣旨の内容が含まれていた。同日、イ前長官は調査本部の関係者に、「国防部法務管理官室と国防部検察団の意見を再検討に反映せよ」との指示もしていた。

 制限がかけられた状況にあっても、調査本部は昨年8月14日、「イム前師団長を含む6人の容疑を指摘し、警察に移牒すべきだ」とする暫定的な結論を下した。しかし国防部法務管理官室と国防部検察団は、そのうちイム前師団長ら4人の容疑は除外すべきだとの意見を示した。結局、調査本部は昨年8月21日、現場の2人の指揮者にのみ容疑が認められると指摘し、事件を警察に移牒した。

 補強調査を阻んだことをうかがわせる情況は、「C上等兵殉職事件」外圧疑惑事件でのイ前長官の職権乱用権利行使妨害容疑を明確にする重要な要素だ。軍の捜査経験の多い弁護士の一人は、「長官が一般的な捜査指揮権という職権を乱用し、調査本部の調査権限を妨害したと考えうる」と話した。また別の弁護士も、「補強調査ができない中で記録だけをもって検討したため、調査本部も自分たちの意見を押し通すのは難しかっただろう」と述べた。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)も当時のイ前長官のこのような指示内容などを把握しており、職権乱用罪の適用の可能性を検討しているという。

イ前長官の弁護人「迅速に警察へ移牒しようとして…」

 イ前長官側は、補強調査要請を拒否したのは事件を迅速かつ公正に処理するためだったと説明した。

 イ前長官の弁護人のキム・ジェフン弁護士はハンギョレに、「国防部の調査本部が別の関係者を呼んで調査した場合、軍が捜査していると誤解される恐れがあったため、速かに再検討し、その結果を警察に早急に移牒せよと言ったもの」だと説明した。補強調査を行うことになれば、「軍での死亡事件は民間で捜査する」という改正軍事裁判所法の趣旨から外れることになるという意味だ。

 続けてキム弁護士は、「(補強調査の拒否は)長官の法律参謀であるユ・ジェウン法務管理官が示した意見に従った指示」だと付け加えた。ハンギョレはユ法務管理官にも経緯を確認するために連絡したが、回答は得られなかった。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1139261.html韓国語原文入力:2024-05-03 20:35
訳D.K

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