「真の男は右派だ。私は彼らと共にある」
ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に所属する欧州議会議員、マクシミリアン・クラー氏がSNSに投稿した40秒ほどの動画の一部だ。彼は「我々には右派陣営で共に闘う男性が必要だ」として支持を訴え、200万回を超える再生数を記録した。報道チャンネル「フランス24」は「ドイツ極右勢力は意図的に若い男性をターゲットにしている」とし、激しいインフレや移民問題などを足掛かりとして20代男性たちに食い込むAfDに注目した。
ジェンダーと社会問題をめぐって広がった男女の認識の違いを利用する極右政党が増えている。特に30歳以下のZ世代で、女性は性役割などに対して進歩的な立場を取る一方で、上の世代の男性よりむしろ保守化している男性に極右が食い込んでいる格好だ。
国際的な世論調査機関のイプソスは今月4日、このような結果を示す世論調査を公開し、ジェンダーの両極化の拡大は「地球的現象」だと指摘した。イプソスは韓国、インド、米国、ドイツ、チリなど31カ国の18歳以上の2万4269人の成人男女に対する調査をもとに、「MZ(ミレニアルとZ)世代、特にその中でも男性は、自分より上の世代より性平等を支持していない」と述べた。調査はベビーブーム世代(1949~1964年生まれ)、X世代(1965~1980年生まれ)、ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)、Z世代(1997~2006年生まれ)に分けて比較している。
「性の平等が過度に促進されたことで、男性が差別を受けている」と考えている男性の割合は、ベビーブーム世代からZ世代まで、それぞれ43%→53%→57%→60%と拡大。「逆差別」を感じている男性の割合はZ世代が60%で最も高かった一方、Z世代の女性はミレニアル世代より4ポイント低い40%だった。また、家で子育てを担う男性を「男性らしくない」と考える人の割合は、ベビーブーム世代では男性が10%、女性が11%に過ぎず、性による格差も微々たるものだったが、Z世代では男性31%、女性20%に上昇し、格差が11ポイントに広がった。英フィナンシャル・タイムズは「政治・社会的性向を世代で区分する傾向とは異なり、Z世代は男女間で大きな意見の違いを示している。彼らは一つの世代ではなく(男女の)二つの世代からなっている」と表現した。
二極化した男女の性向の違いは、投票などの政治行動にも決定的な影響を及ぼす。スペインの極右政党ボックス(VOX)が「性差別主義」を利用して勢力を拡大したのが代表的な例だ。ボックスを研究してきたバルセロナ自治大学のエバ・アンドゥイサ教授、ギヨーム・リコ教授は「ボックスは女性が受けている差別を否定しており、フェミニストを『フェミナチ』と呼ぶなど、フェミニズム政策を攻撃する新たな政治行為で関心を集めた」とし、「性差別主義は重要な政治的結果を招きうる。短期間で変化を与えうる要素だ」と述べた。