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大企業雇用率、韓国14%・米国58%…「格差を縮めれば入試競争・少子化問題解消」

登録:2024-02-27 20:51 修正:2024-02-27 22:37
2022年11月8日、世宗市の政府世宗コンベンションセンターで開かれた青年就職博覧会の採用公告現況板/聯合ニュース

 韓国国内で上位20%の大学(修学能力試験の成績基準)の卒業生が受け取る賃金が、下位20%の大学卒業生より平均51%多いことが分かった。こうした賃金格差と、これによる入試競争、少子化および首都圏集中問題などを解消するためには大企業の良質な雇用拡充が必要だという指摘が提起された。

 韓国開発研究院(KDI)のコ・ヨンソン先任研究委員は27日に発表した「より多くの大企業の雇用が必要」と題する報告書で、「韓国は大規模事業体の雇用の割合が経済協力開発機構(OECD)で最も低い国」だとし、「大企業の雇用に代弁される良い働き口の不足は、大学入試競争の過熱、社会的移動性の低下、出生率下落と女性の雇用率の停滞、首都圏集中の深刻化などの原因になっている」と診断した。

 報告書によると、韓国の雇用全体に従業員250人以上の大企業が占める割合は、2021年基準で14%。同じく従業員250人以上の大企業を基準に見ると、米国(58%)はもちろん、英国(46%)、スウェーデン(44%)、ドイツ(41%)など主要国に遠く及ばない。若者が好む大企業の雇用が1998年のアジア通貨危機を前後して減少し、その後も停滞状態を示しているためだ。

 こうした大企業の雇用不足が少子化を進め、賃金格差と入試競争を招いているというのが報告書の評価だ。例えば、賃金労働者の半分ほどが働く従業員30人未満の事業体では、出産前後の休暇が必要な人のうち一部のみ使ったあるいは全く使えなかったという割合は2022年基準で約30%、育児休職の場合は同割合が約50%に上った。

 コ先任研究委員は、1998~2000年の大学修学能力試験の成績上位20%である4年制大学の卒業生の40~44歳時の平均賃金が、下位20%大学の卒業生より51%高いと推定した。コ先任研究委員は「上位圏大学の卒業者は賃金だけでなく正規職就職、大企業就職、長期勤続などで有利」だとし、「このように賃金プレミアムが高いので、上位圏大学に進学しようと激しい入試競争を行うことになる」と指摘した。また報告書では、母性保護制度が相対的に充実している大企業の雇用が少ないのは、女性のキャリア断絶と低い出生率の原因にもなっていると言及された。

 コ先任研究委員は「事業体の規模が大きくなければ良質な雇用が作れないということを前提とするならば、政府は企業の大規模化が円滑に進行される条件を用意しなければならない」として「このような側面で中小企業適合業種制度、大型マート営業時間制限、大企業経済力集中関連政策も再検討する必要がある」と提案した。大企業が多くなれば、入試競争や少子化など各種の社会問題も緩和されるという見解だが、報告書は自営業者・中小企業の比重が高い韓国社会の構造的特殊性に関する政策の代案は提示しなかった。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1130059.html韓国語原文入力:2024-02-27 16:24
訳J.S

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