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[社説]「録画対談」を選んだ尹大統領、隠れても支持率は上がらない

登録:2024-02-02 23:15 修正:2024-02-18 15:24
尹錫悦大統領が2月1日、京畿道城南市の盆唐ソウル大学病院で開催された「国民と共にする民生討論会第8回、命と地域を生かす医療改革」で発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は韓国放送(KBS)での新年対談のかたちで、7日に国民に対するメッセージを発表することを決めた。これを通じて新年の国政運営課題を説明するほか、キム・ゴンヒ女史のブランドバック疑惑などの主要懸案に対する立場も示すという。だが事前、事後の調整が可能な対談の放送で国民との意思疎通義務を代替できると考えているとしたら、大変な錯覚だ。

 2日の大統領室の説明を総合すると、尹大統領の対談は4日の録画、旧正月連休2日前の7日夜ごろの放送が有力だという。対談はKBS「ニュース9」のアンカーを務めるパク・チャンボム氏と行われる見通しだ。3日間の時差を設けた録画方式を選んだことにより、対談の形式と内容の事前調整はもちろん、事後の編集をも可能にした。大統領室はこれまで、年頭記者会見や記者団との「キムチチゲ懇談会」などを検討してきたが、そのような形式では「深みのある対話」を行うのは容易ではないということが考慮されたと説明する。大統領室の言うその「深み」とは何なのか。敏感な事案についてのメディアによる質問攻勢が統制できず、その過程で尹大統領の即興的な答弁がさらなる批判を招く恐れがある、というのが本音だろう。結局、国民が聞きたいことというより、本人が言いたいことを伝えることを重視したわけだ。

 尹大統領が国民に答えるべき懸案はあふれている。民生経済の回復策、キム女史のブランドバック授受疑惑はもちろん、国民の力のハン・ドンフン非常対策委員長との対立で明らかになった党務介入問題、国政私有化批判を招いた「キム・ゴンヒ特検法」に対する再議要求権(拒否権)行使、惨事真相究明の訴えを黙殺した「梨泰院(イテウォン)特別法」に対する拒否権行使など、どれ一つとっても深くないものはない。「参謀の後ろに隠れたりせず、政府の過ちは率直に告白する」と言っていた大統領当選のあいさつは、もはや覚えている人も多くはない。敏感な事案は無視し、メディアとのコミュニケーションは一方的に中止したかと思えば、今度は特定メディアとの「仕組んだ」対談で危機を免れようとしている。そうすれば危機は免れうるのか。

 この日発表された韓国ギャラップの調査で、尹大統領の国政を「支持する」と答えた人の割合は29%、「支持しない」は63%だった。支持しない主な理由は意思疎通の不足、独断的で一方的な国政運営、キム女史問題などだ。就任後、提起され続けてきたこのような諸問題が、まったく解消されずに積もりに積もった結果だ。今回のKBSとの新年対談は、意思疎通ではなくコミュニケーション不在のイメージをさらに強める可能性が高い。いつまで参謀の後ろに、特定メディアの後ろに隠れてばかりいるつもりなのか。国民の前に立つべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1127072.html韓国語原文入力:2024-02-02 18:05
訳D.K

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