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半年間続いた性搾取メッセージ…裏には「性売買ポータル」(1)=韓国

登録:2024-01-27 01:07 修正:2024-01-27 09:17
2018年9月17日午前にソウル警察庁前で行われた性売買斡旋、購入ポータルサイト共同告発記者会見。参加者たちが「性搾取」「性売買斡旋」などがつながった紐を切るパフォーマンスをくり広げている/聯合ニュース

 「性売買はそれ自体が暴力的、搾取的な性格を持つもので、経済的代価を媒介として経済的弱者である性を売る女性の身体と人格を支配するかたちを帯びるため、対等な当事者同士の自由な取引行為とは見なせない」

 憲法裁判所は2016年3月、「性売買の斡旋(あっせん)などの行為の処罰に関する法律」は個人の性的自己決定権を侵害してるとして起こされた違憲提請を棄却した際に、このように述べた。性売買行為を自由な取引行為と見なすことはできない、というのが憲法裁の決定の肝だ。

 憲法裁のこのような決定にもかかわらず、依然として韓国社会では性売買が当たり前に行われている。

 ハンギョレが2022年10月に入手したある「売春斡旋者」の携帯電話番号には、8カ月間で322件の性売買に関するショートメッセージの着信があった。ハンギョレが「ソウル市立タシハムケ(再び一緒に)相談センター」とこのショートメッセージの内容を分析したところ、性売買斡旋サイトを中心として性売買を実現させるために様々な業界が動いており、「性搾取産業」へと成長しつつある構造が明らかになった。

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 「ウンヒ、できますか?」

 Kさん(26)は2022年10月に携帯電話の番号を変えた後に、このようなショートメッセージを受け取った。ひっきりなしに鳴る携帯電話には、その後も「ヘリさんで予約できますか?」、「オ○○○○(性売買斡旋サイト名)を見て連絡しました。60分『××コース』を予約したいんですがいちばん早い時間はいつになりますか」などのメッセージの着信があった。

 「いったいどんな人が使っていた電話なのだろう」。検索サイトに番号を入れてみたら、ソウル江南(カンナム)のある「休憩所」の名前がヒットした。暗号のようだったメッセージの意味するところがようやく理解できた。Kさんが新たに開通した番号は、性売買の斡旋者が使っていたもの(2022年12月3日付ハンギョレ18面)だったのだ。斡旋者が使っていた番号に300件以上も届いた性売買に関するメッセージは、2023年6月に突如としてぱたりと途絶えた。その頃、「オ○○○○」などの性売買斡旋サイト(ポータル)からこの休憩所の名が消えたことによるものと思われた。

性売買産業の中心、斡旋サイト

 斡旋者の使っていた番号に届いたショートメッセージは計322件。個人的用件(57件)、違法賭博業者(32件)、接待を伴う飲食店の宣伝(3件)を除いた230件のメッセージが、性売買と直接的な関連のある内容だった。

 買春を求める男性による予約の問い合わせが140件で最多。斡旋者に店の広告を出すことを提案する性売買ポータルのメッセージ(53件)がそれに次いで多く、さらに買春者データベースの販売(27件)から性売買店の「プロフィール」作成(7件)、性売買のレビュー代行(2件)、性売買店専用端末の販売(1件)などを提案する様々な「関連業界」の関係者たちのメッセージが後に続いた。性売買産業を支えつつ、それに寄生する業者たちが駆けずり回っている姿がイメージされた。

 メッセージを見ると、性売買ポータルは「買春希望者」と「性売買業者」をつなぐ三角形の出発点だ。近ごろの性売買は概して、買春希望者が性売買ポータルに掲載された業者の「プロフィール」のかたちをとった広告を見て気に入った業者を選び、そこに掲載されている番号に電話して買春を予約するというやり方で行われるからだ。ソウル市立タシハムケ相談センターのクォン・ギョンラン監視事業チーム長は、「性売買の集結地にある業者以外の性売買業者は、100%性売買ポータルにオンライン広告を出していると考えて差し支えない」と語った。

 実際のところ、買春男性たちによる予約の問い合わせメールはおおむね「性売買ポータルの○○を見て連絡した」という言葉で始まっていた。斡旋者の番号に届いたメッセージで言及されていた性売買ポータルのURLは計48ページ(16ポータル)だったが、これらの中で現在も接続が可能なポータルのメイン画面を見ると、女性の露出写真が載った性売買業者のプロフィールが一目で見られるようになっていた。各地域のページに入ると、さらに多くの性売買業者のプロフィールが現れる。タシハムケ相談センターが把握したところによると、性売買ポータルの規模と影響力に従って、少なくとも100社、多いと800社の性売買業者のプロフィールが載せられている。プロフィールには性売買業者の位置する地域や連絡先はもちろん、性売買女性の容姿や特徴の情報と性売買レビューまで載っている。詳細情報は概してログインをしなければ確認できないシステムになっている。

 ソウル江南圏のオフィステルで7年間にわたって性売買業を営んでいるA氏は、「性売買ポータルとの提携が宣伝の肝。提携サイトは多ければ多いほどよい」と話した。同氏は「有名ポータルに広告を出せばコール数(性売買の予約数)が保障される」と述べた。

たやすくアプローチできる性売買

 性売買ポータルは業者から毎月数十万ウォンの「提携費」を受け取り、業者のプロフィールをサイトに掲載している。A氏によると、会員数の多い「メジャー」性売買ポータルの場合は業者から毎月30万ウォン(約3万3300円)ほど、中小規模ポータルは月10万~15万ウォン(約1万1100~1万6600円)を受け取っている。新生ポータルだと、性売買業者を顧客として誘致するために、最初の数カ月間は無料でプロフィールを掲載したりもするという。

 性売買ポータルに掲載されている性売買業者の広告数が100~800件ほどであることを考えると、性売買ポータルが毎月集めている金額は少なく見積もっても1000万~2億4000万ウォン(約111万~2660万円)にのぼるという計算になる。実際に、2021年に懲役3年を言い渡されたある性売買ポータルの運営者は、判決文によれば、ポータルを立ち上げてからわずか8カ月で少なくとも1億8000万ウォン(約2000万円)の収益をあげている。70万人の会員を保有し、一時は韓国最大の性売買ポータルとされた「夜の戦争」の場合、7千社あまりの性売買業者の広告を出し、約7年間で210億ウォン(約23億3000万円)ほどの収益を得ていたことが明らかになっている。

 これこそ、性売買ポータルが性売買業者を顧客として誘致するために積極的に提携を呼びかけるショートメッセージを送る理由だ。斡旋者の番号に届いたメッセージのうち53件は、性売買ポータルの18人の関係者から送られてきたものだったが、「コール数(予約件数)を保障する」とか「一日誘引客1万人」、「お客様未訪問時は補償」という但し書きを付け、バナー広告の掲載を提案していた。

 性売買ポータルは随時URLを変えることで、捜査機関の取り締まりと接続遮断を回避している。実際に、斡旋者の番号に届いたメッセージに載っていたポータルの48のURLのうち、クリック後すぐに性売買ポータルにつながったものは1ページのみで、31ページは接続遮断・不可状態、16ページは「代替サイト」につながっていた。性売買ポータル「オ○○」の場合、「現在のURLは○○○○○○57.com 」だが「次のURLは○○○○○○58.com 」だとし、サイト遮断に備えたURLまで堂々と公開していた。(2に続く)

チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1125817.html韓国語原文入力:2024-01-25 05:00
訳D.K

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