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「より北へ、気候危機は世界を『集団移住』させるだろう」

登録:2024-01-04 00:12 修正:2024-01-04 07:46
インドのバラナシの西、プラヤグラジ地域で、人々が猛暑の中を歩いている=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「人類はこの1万5千年の間、安定した気候の中で繁栄し、支配種になることができた。私たちは地球の生態系を決定し、果ては気候と大気の温度をも変化させた。だが今、私たちは一度も経験したことのない気候に直面し、生活のあり方が大きく脅かされるようになった」

 英国の科学ジャーナリスト、ガイア・ヴィンスさんは2日、日本の「NIKKEI Asia」とのインタビューで「2050年までに12億人の気候難民が発生するだろう」とするグローバルシンクタンク、経済平和研究所(IEP)の報告書を引用し、このように語った。同氏は「(人類が引き起こした気候変動によって)赤道周辺に住む人々は北へと移動するようになるだろう。国境、移民、都市建設のあり方についての考えを改めなければならない」と述べた。

 ヴィンスさんは気候変動に起因する危険要素として猛暑、火災、干ばつ、洪水の4つをあげた。このような気候災害が農業活動を脅かして食糧問題を引き起こすとともに、海面上昇などを誘発して多くの地域を人間の居住が困難な土地にすると指摘した。

 同氏は「海に面するインドのムンバイを見れば、すでに深刻な暴風による高波の被害にあっており、気温も高い」とし、「2040年や2060年にも今のように多くの人口がムンバイに残っているだろうか」と疑問を呈した。そして「(このような気候条件への対応は)相対的に裕福な少数の人口のみが可能」、「多くの人はそのような条件で暮らすことは困難なため、移住しなければならないだろう」と語った。

ガイア・ヴィンスさん=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

 ヴィンスさんは、人類は生存のために高緯度地域に「北進移住」することになりうる、との見通しを示した。地球上のどの場所も気候変動の否定的な影響は避けられないだろうが、平均気温の低い高緯度の国々の方が相対的に気候危機への対応に有利だからだ。同氏は「(気候変動によって)カナダ、スカンジナビア、ユーラシア北部などでは農作物の栽培期間が長くなっており、冬が穏やかになったため暖房費が以前よりかからなくなった」と説明した。

 問題は「国境を越える大量の移住を人々が受け入れることができるのか」ということ。ヴィンスさんはこのような質問に対し、「たやすくはないが、それより簡単な解決策はない」と断言した。同氏は「政治指導者たちは移住を安保問題ではなく人道主義的かつ経済的な問題だと考える必要がある」と述べた。

シン・ソユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1122773.html韓国語原文入力:2024-01-03 11:36
訳D.K

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