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[社説]「投票操作可能」独断発表した韓国国家情報院、「政治介入」復活か

登録:2023-10-18 04:42 修正:2023-10-21 10:47
キム・ギュヒョン国家情報院長が9月4日午後、ソウル汝矣島の国会で開かれた情報委員会全体会議に参加している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 ソウル市江西区長の補欠選挙前日の10日、中央選挙管理委員会によるセキュリティー診断の結果を、国家情報院が合同診断機関である韓国インターネット振興院(KISA)との協議なしで独断で発表した事実が国政監査で明らかになった。野党「共に民主党」は17日、「国家情報院は補欠選挙の前日、『ハッキングで投票分類の結果を変えることが可能』だとする診断結果を発表した」としたうえで、「しかし、KISAや選管委は発表内容に同意するどころか事前協議もなかったということが、国政監査で確認された」と明らかにした。実際、KISAは15日、共に民主党のパク・チャンデ議員に送った書面の返答を通じて、「国家情報院のセキュリティー診断の結果の報道資料配布に関する協議はなかった」と明かした。

 国家情報院は当時、わざわざ補欠選挙前日の報道資料を通じて、選管委の投開票システムはハッキングに脆弱であり、事前の投票操作などが可能だと指摘した。また、これについて与党「国民の力」からは、「危険性が明らかになった事前投票システムをなくすべきだ」「選挙結果操作のための陰謀の手段」などの主張が出てきた。通常、事前投票は若い世代など野党支持層の参加比率が高い。国家情報院の発表の3日前に行われた江西区長補欠選挙の事前投票率も、過去最高を記録した。そのため、国家情報院の発表と与党の主張をめぐり、事前投票に対する保守層の不信と懸念を誘発し、与党支持層の当日投票への参加を高めようとする政略的な意図が背景にあったのではないかという疑問が生じた。

 特に、選管委が国家情報院の発表後、ただちに反論する立場を明らかにしたことで、国家情報院と与党の「談合」疑惑に火がついた。選管委は当時、「国家情報院のセキュリティー診断は、既存のセキュリティーシステムを作動させない状態で行われた『仮想ハッキング』だった」とし、「投開票の操作は事実上不可能なシナリオ」だと反論した。さらに、「単に技術的なハッキングの可能性だけを強調して選挙結果の操作の可能性に言及することは、選挙への不服を助長し、選出された権力の民主的な正当性まで傷つける危険性がある」と指摘した。今回、KISAまで国家情報院の独断的な発表だったことを認めたため、疑惑はよりいっそう強まった。

 国家情報院は、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)両政権期、国内政治と選挙に露骨に介入し、ろうそくデモによる改革後、大勢の関係者が処分を受けている。当時、検察による捜査を主導したのが、まさに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領だ。それだけに尹大統領は、総選挙を控えたセンシティブな時期に国家情報院の政治介入疑惑が再起する現実に、誰よりも重い責任を感じるのが当然だ。国会は、国政監査などを通して責任を徹底的に糾明し、再発の可能性を根本的に断絶しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1112496.html韓国語原文入力:2023-10-18 02:40
訳M.S

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