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[寄稿]国連軍司令部の怪しい動きと台湾有事

登録:2023-10-07 06:39 修正:2023-10-08 09:54
ビンセント・ブルックス元在韓米軍司令官が先月25日、シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で開かれた「韓米戦略フォーラム」で発言している=ワシントン/聯合ニュース

 9月25日、米ワシントンで開かれた「韓米戦略フォーラム」で、ビンセント・ブルックス元在韓米軍司令官が意味深な発言をした。ブルックス氏は在韓米軍と在日米軍を統合指揮する「極東軍司令部」の創設を呼びかけた。8月にキャンプデービッドで開かれた韓米日3カ国首脳会談が新しい合同指揮体系を議論できる環境を整えたとして、極東軍司令部の創設が難しい場合は、現在の国連軍司令部を合同指揮機構として活用できるという代案も示した。

 ブルックス氏の主張は、国連軍司令部の後方基地8カ所を自国内で運営し、朝鮮半島で発言権を拡大しようとする日本の狙いと一脈相通ずる。氏の在任中、すでに国連軍司令部を多国籍軍司令部に変貌させる一連の変化が試みられた。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代、ブルックス氏は国連軍司令部加盟国でもないドイツ将校を国連軍司令部に抜擢する意外な人事も行なった。国連軍司令部を単なる軍司令部ではなく、欧州の北大西洋条約機構(NATO)とつながる国際安保機構にしようとする腹案がうかがえる。

 ブルックス氏のこのような一連の言動の背景には、日本の旭日旗がちらつく。さらに意味深長な変化もある。昨年9月、ワシントン韓米研究所が主催したオンライン・シンポジウムで、ポール・ラキャメラ在韓米軍司令官は、中国の台湾侵攻への対策に関する質問に対し、「ご存知のように、司令官や指導者たちはあらゆることについて非常計画を立てるものだ」とし、自身の任務が「朝鮮半島を防衛し、北東アジアの平和と安定と安全保障を維持すること」だと答えた。事実上、在韓米軍の任務の範囲が朝鮮半島を越えて台湾防衛まで拡張されたという宣言だ。さらに、韓米連合軍司令部が台湾危機事態において後方支援の任務を担う司令部となる可能性まで念頭に置いたものとみられる。在韓米軍の任務が北東アジア全体に拡大する過程で、韓国政府が(在韓米軍と)どのような協議を行い、何を同意したのか気になる。

 こうした一連の動きは、韓米日3カ国が台湾有事に対する非常計画を共同で樹立することに焦点を合わせている。中国を刺激しないよう計画を公開していないだけで、台湾危機の際、3カ国の行動を統一しようという目標と構想はかなり前から進められてきた。3カ国が台湾有事の共同作戦計画を樹立し、軍需品の共同備蓄など軍事的な準備態勢を促進する任務は、国連軍司令部の担当になる可能性が高い。米国は韓米同盟のような2国間同盟を過去のものと認識している。東アジアで中国に対する軍事的優位を急速に蚕食されてきた米国は、オーカス(AUKUS、米英豪)、クアッド(QUAD、米日豪印)、韓米日安全保障協力体のように、ミニラテラリズム(minilateralism)連合で軍事政策を再編している。このため、国連軍司令部と韓米連合軍司令部も北東アジアで中国を牽制する多国間連合に合う方向に変貌を遂げている。

 日本は派手な戦略的レトリックを乱発し、北東アジア情勢を自ら主導しようとしているが、大変な役回りは韓国が引き受けることになる可能性が高い。オーストラリアのシンクタンク「ローウィー研究所」の2021年の「アジア戦力指数」によると、東アジア諸国のうち韓国は「訓練、準備態勢、維持」部門で米国と3.3点差で2位となったが、日本は78.6点で8位にとどまった。攻撃兵器や上陸部隊がなく、隊員募集がはかばかしくない日本の自衛隊は、行動する戦闘部隊というよりは、頭脳だけを提供する後方企画司令部に近い。台湾有事などで米国が足りない戦闘力を補う候補国は他でもない韓国だ。最近、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は米国と日本の戦略構想に吸収され、繰り返し国連軍司令部の戦争抑止力を強調し、NATOとの連携を強調してきた。韓国の大統領は、力を崇拝する武装平和論を伝道し、韓国の軍事力を輸出して威信を築こうとする小英雄主義者だ。

 東アジアで2国間同盟時代を清算し、集団主義が拡散する一連の動きは、中世十字軍戦争を準備していた諸侯国の騎士団連合と相通じるものがある。国家間の経済的相互依存で生産的活力を高め、市民の自由を拡大し、他の価値とルールを尊重する包容的自由主義が崩壊する。その代わり、壁を立てて紛争を誘発し、市民を統制する冷戦型安保至上主義が戻ってくる兆しが現れた。安保国家は、日常的な安保危機の中で野党とマスコミに対する統制と監視を強化する龍山(ヨンサン)全体主義が根を下ろす肥沃な土壌だ。安保危機と極右統治は、まさに現政権の騎士道精神だ。

//ハンギョレ新聞社
キム・ジョンデ|延世大学統一研究院客員教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1111091.html韓国語原文入力:2023-10-06 12:43
訳H.J

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