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韓国、「看護法案」が結局廃案に…6月国会も争点の法案で対立激化か

登録:2023-05-31 03:53 修正:2023-05-31 08:29
30日、国会本会議で、尹錫悦大統領が再議要求権(拒否権)を行使した看護法案が再採決の末に否決され、大韓看護協会の会員たちが傍聴席を出ていく様子/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が糧穀管理法改正案に続き2度目の再議要求権(拒否権)を16日に行使した看護法案は、30日の国会本会議での再採決の末に否決された。新型コロナウイルス禍で防疫に投入された看護師たちの労働環境と処遇問題が注目されたことで立法には弾みがついたものの、与党の反対でついに廃案となった。与党の反対の中で野党が本会議に職権回付(委員会で議案の合意が得られず議論継続が不可能な場合、委員長の権限で議案を国会本会議に付すこと)した「黄色い封筒法案(労働組合および労働関係調整法第2・第3条改正案)」や「公営放送支配構造改善法案(放送法改正案など)」も、6月の臨時国会で採決に付される可能性があるため、与野党の対立は激化するものとみられる。

 国会はこの日の本会議で、在席議員289人中賛成178票、反対107票、無効4票で看護法案を否決した。憲法に則り、大統領が再議要求権を行使した法案が国会で再び可決されるためには、在籍議員の過半数の出席、出席議員の3分の2以上の賛成が必要。4月の本会議での採決では賛成179票で可決されたが、与党「国民の力」が早々に「看護法反対」を党の総意と定めたため、再採決では否決が予想されていた。

 看護師団体の宿願として本会議に上程された看護法案が廃案となったことを受け、野党「共に民主党」は「政治的な計算ばかりの無責任な記憶喪失政治」(キム・ハンギュ院内報道担当)とし、「大統領の拒否権行使による対立を解決できなければ、与党は必ず国民の審判を受けることになるだろう」と批判した。いっぽう国民の力は、野党の一方的な立法を「亡国的立法暴走」だとし「来年の総選挙での勝利のための票計算」(ユン・ジェオク院内代表)だと糾弾した。

 3月の糧穀管理法改正案の処理から始まった「拒否権政局」は、6月国会で悪化の一途をたどる可能性が高い。5月1日に法制司法委員会を跳び越えて本会議に職権回付された「放送法改正案」と、24日に同じく職権回付された「黄色い封筒法案

」が、いずれも6月中の採決を控えているからだ。与党は放送法案に続き黄色い封筒法案についても、憲法裁判所に「本会議への職権回付」に対する権限争議審判を請求し、対決の姿勢を強めている。与党所属で国会法制司法委員を務めるチョン・ジュヘ議員らはこの日、憲法裁を訪れ、権限争議審判請求書と効力停止仮処分申立書を提出した。その後、「権限争議審判請求は、民主党が(本会議職権回付の)可決を宣言した行為が無効であることと、法司委員の体系・字句審査権の侵害であることを確認してほしいという内容」だとし「法司委の素通りは国会法を飛び越す違法」だと主張した。

 ただし、与野党いずれにとっても、総選挙前の最後の1年を「オール・オア・ナッシング」式の極端な力対力の対決に陥らせるのは負担となる。与党が放送法案と黄色い封筒法案を法廷攻防に持ち込んだのとは異なり、看護法案については「仲裁案を準備する」との意思を強調してきたのも、そのような理由によるものと解釈される。民主党のキム・ハンギュ院内報道担当も「より内実の伴うものへと公共医療システムを強化する法案を準備する」とし「与党と合意できる法案を準備する」と述べた。民主党は党内が混乱に陥っているため、民意に敏感な時期であるだけに、今後の立法過程では世論を考慮して事案ごとに対応するだろうとの見方も、党の一部からは示されている。

19日、ソウル中区の世宗大路一帯で行われた「看護法拒否権汎国民糾弾大会」に参加した看護師や看護大学の学生らが、プラカードを手にスローガンを叫んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社
オム・ジウォン、ソン・ヒョンス、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1093908.html韓国語原文入力:2023-05-30 17:28
訳D.K

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