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[コラム]米中半導体戦争、日本の「漁夫の利」戦略

登録:2023-05-30 20:14 修正:2023-05-31 08:53
米中「半導体戦争」と日本の「漁夫の利」戦略=キム・ジェウク画伯//ハンギョレ新聞社

 1980年代、世界2位の経済大国日本は半導体産業で米国を圧倒していた。戦略的意味の大きい半導体産業が日本に追撃されると、危機感を感じた米国は反ダンピング訴訟と報復関税賦課など、日本の半導体を狙った全方位攻勢に乗り出した。1986年、日本はついに米国製半導体の輸入拡大などを規定した「米日半導体協定」を結んだ。米国はその後も通商法301条を掲げて日本に対し追加報復措置を継続した。1988年、全世界の半導体の51%を生産した日本の半導体産業は衰退の途に追い込まれた。米国の対日けん制戦略の中で機会をつかんだ韓国の半導体産業は急成長した。米国は韓国に市場と技術を提供した。(クリス・ミラー『Chip War』、邦題:『半導体戦争―世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』)

 現在、「米中半導体戦争」で世界の半導体産業に再び地殻変動が起き、日本がその間隙を激しく掘り下げている。昨年10月に米国が中国を狙った半導体装備規制措置を発表してから1カ月後、トヨタ自動車とキオクシア、ソニー、NTT、ソフトバンク、NEC、デンソー、三菱UFJなど日本の主要大手企業が集まって、半導体企業ラピダスを創設した。日本政府はこれに700億円を支援することにした。

 日本政府は大規模な補助金を支給し、世界の主要半導体企業も日本国内に誘致している。熊本には台湾のTSMCが、広島には米国のマイクロンが大規模な半導体工場を建てる。サムスン電子も横浜に研究開発施設の建設を検討しているとの報道が出ている。18日、岸田文雄首相の招請で韓国、米国、台湾の半導体企業の経営陣が一堂に集まったのは、異例で象徴的な場面だった。

 40年前、日本の半導体産業をけん制していた米国が、今や日本の最も強力な支援軍に変身した。26日、日本の西村康稔経済産業相と米国のジーナ・レモンド商務長官は、米国のデトロイトで、日米が半導体分野の技術協力を強化するとして共同声明を発表した。インテル、IBM、グーグルなどが相次いで日本の半導体企業や大学との協力を発表している。米国が自国領土内に半導体生産施設を移転させる速度が予想より遅く進んでおり、日本をアジア半導体の基地にする戦略に重きが置かれているとの分析(KB証券キム・イルヒョク研究員)もある。

 日本は、自国の半導体素材、部品、装備産業の優位もテコに積極的に活用している。日本の全世界の半導体装備市場でのシェアは35%で、米国(40%)に次ぐ世界2位、半導体素材は55%で1位だ。日本はこの「半導体素材・部品・装備優位」で韓国に「経済報復」をした。7月から日本は中国に対する高性能半導体製造装備などの輸出を制限すると発表したが、この措置が実際に実行される場合、中国の半導体自立戦略に深刻な打撃を与えるものと予想される。

 米-中半導体戦争で韓国企業が「二者択一」を強要され危機に陥っている間に、日本は「漁夫の利」戦略を緻密に推進している。米日共同声明は「特定地域に(半導体の)供給を依存」している問題を解決していくと述べた。半導体の生産が韓国、台湾、中国などに集中している状況を変えるということだ。そのように作られた空間で、日本の半導体産業の復活が急加速している。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1093860.html韓国語原文入力:2023-05-30 18:31
訳J.S

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