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米メディア「尹大統領の訪米後、韓国が砲弾をウクライナへ移送する手続き開始」

登録:2023-05-26 06:46 修正:2023-05-26 07:26
ウクライナ軍が3月17日、バフムト付近で米国製155ミリM777曲射砲を発射している/AFP・聯合ニュース

 韓国が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の4月末の米国「国賓訪問」以降、ウクライナに砲弾を供与する手続きを始めたという米国メディアの報道が出たが、大統領室は「政府の立場は変わっていない」と否定した。しかし、尹大統領がウクライナに対する韓国の「軍事的貢献」を望む米国の期待感を大きく高めており、今のようなあいまいな態度を保つのは難しいものとみられる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは24日付(現地時間)で、米政府当局者の話として「韓国がウクライナに数十万発の砲弾を移送する手続きを進めている」と報じた。同紙は、韓国が昨年11月の秘密協約によって米国に砲弾を移転するという決定を下した後、ここ数カ月間これを拒否していたが、4月26日の韓米首脳会談などを通じて突破口が開かれたと報道した。この指摘通り、韓米首脳は同会談で韓米核協議グループ(NCG)を設置し、米国の「拡大抑止」へのコミットメントを強化する内容を柱とする「ワシントン宣言」に合意した。同宣言の見返りに韓国がウクライナに砲弾を供与する決断を下したというのが、今回の報道の要旨だ。

 しかし、大統領室関係者は25日(韓国時間)、ハンギョレの取材に対し「政府の立場は変わっていない」と答えた。韓国国防部のチョン・ハギュ報道官も定例記者会見で「ウクライナへの軍事支援と関連し、基本的な立場には変わりがない」としつつも、「政府はウクライナの戦況と人道的状況を総合的に検討し、適切な措置を取っていく」と述べた。

 韓国政府のウクライナに対する砲弾供与をめぐっては、先月、曲射砲などに使われる155ミリ砲弾を米国に貸与する形で送り、米国が自国のものをウクライナに供与する「押し出し式の支援」を行う可能性があるとする報道が相次いだ。大統領室と国防部は当時、これといった立場を示さなかった。

 韓国政府は尹大統領の米国訪問と21日のウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談などを経て、ウクライナへの軍事支援を慎重に検討している様子だ。前日、国会運営委員会に出席したチョ・テヨン国家安保室長も「ウクライナに弾薬を供与するのか」という質問に対し、「戦況をみて他の状況を考慮し、今後検討する予定だ」と答えた。

 しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道が指摘したように、尹大統領は先月の米国訪問前後に韓国政府がこれまで維持してきた「殺傷力のある兵器は供与しない」という方針の変更もあり得るという趣旨の発言を繰り返してきた。先月19日、ロイター通信とのインタビューで「大規模な民間人への攻撃」などを前提に、「人道支援や財政支援にとどまり、これだけに固執するのは難しいかもしれない」と述べた。訪米中に行われた米NBC放送とのインタビューでは、「最前線の状況が変わった場合や、我々が殺傷力のある兵器をウクライナに供与せざるを得ない場合になれば、韓国が国際社会の取り組みを無視する状況はないだろう」と述べた。

 先月「韓国国家安保室の高官に対する米国中央情報局(CIA)の盗聴疑惑」で明らかになった米国側の機密文書にも、韓国政府が国産155ミリ弾33万発をポーランドを通じてウクライナに「迂回」供与する案などを検討していたという内容が登場する。チョ室長は前日、運営委で「ウクライナに直接(砲弾を)供与することはない」とし、「ポーランドを通じて迂回供与することもない」と断言した。

 ある大統領室関係者は「西側諸国が国際法に違反したロシアに対してウクライナ側に全面的な支援を行う状況で、これに逆らうのは容易ではないだろう」と述べた。ただし、大統領室は砲弾の供与後もロシアの報復を避けるため、今のように「検討中」という立場を固守する可能性がある。

パク・ピョンス先任記者、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1093410.html韓国語原文入力: 2023-05-26 02:42
訳H.J

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