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オフィステルは福祉の死角…生活苦で焼身自殺した高齢者の管理費滞納、誰も知らず

登録:2023-03-06 01:14 修正:2023-03-06 09:16
一人暮らしをしていたKさん(83)が、自らの体に火をつけたことで燃えたマットレス=麻浦消防署提供//ハンギョレ新聞社

 一人暮らしをしていた自宅で焼身自殺を図り、入院治療を受けていたソウル麻浦区(マポグ)の80代の女性が死亡した。この女性は8カ月分の管理費を滞納していたが、共同住宅とはみなされないオフィステル(小さなオフィスと住宅の機能を兼ね備えた部屋からなる集合住宅)に居住していたため、危機情報が福祉当局に把握されていなかったことが明らかになった。

 5日の本紙の取材を総合すると、火災で重傷を負い、治療を受けていたKさん(83)が2日に死亡した。Kさんは先月28日、麻浦区桃花洞(トファドン)に位置するオフィステルの居間に置かれたベッド用マットレスに火をつけ、自殺を図った。スプリンクラーが作動したために火は消し止められたものの、Kさんは全身にII度の熱傷を負った。

 Kさんが自殺を図るまで、政府はKさんの困窮に気づいていなかった。約15年間ともに暮らしていた同居人が昨年4月に亡くなり、その後、一人暮らしをしていたKさんは、昨年7月からオフィステルの管理費を8カ月分滞納していた。政府は福祉の死角地帯をなくすために、電気や水道が止められていたり、健康保険料や共同住宅の管理費を滞納しているなどの39種の危機情報を収集している。しかしオフィステルはアパートのような共同住宅には含まれていないため、Kさんの管理費滞納は福祉の網に捕らえられていなかった。

 そのためKさんは、危機情報がひとつでも該当すれば登録される「全体危機情報入手者」の名簿にも、リスクの高い脆弱階層に当たる「中央危機発掘対象」の名簿にも入っていなかった。保健福祉部の関係者は「共同住宅の場合は、管理費を管理する民間企業の情報を持ってくるが、オフィステルの管理費情報を持ってくるシステムはない」と語った。

 Kさんは昨年9月に洞住民センターに転入届を提出し、基礎生活受給者登録も問い合わせるなど、厳しい境遇から抜け出すために努力してもいた。当時、住民センターは受給者申請に必要な書類を持ってくるよう案内したが、Kさんが再び住民センターを訪れることはなかったという。麻浦区役所の関係者は「電気やガスが止められたとすれば危機情報が捕らえられたはずだが、そのようなことはなかった」と語った。

 Kさんが同居人と法的な婚姻関係になかったことも、Kさんを困窮させた要素だった。Kさんには自身の収入がなく、同居人から生活費を受け取って生活してきた。居住していたオフィステルも、先に死亡した同居人の家族の所有だった。そのため賃貸借証明書、各種の金融資料など、基礎生活受給者申請に必要な書類の準備にも困難をきたしたとみられる。

イ・ウヨン、チャン・イェジ、パク・チュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1082243.html韓国語原文入力:2023-03-05 19:40
訳D.K

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