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ハロウィーンはいかにして韓国の祭りになったのか

登録:2022-10-31 02:52 修正:2022-11-01 07:45
10月13日、米国バージニア州アレクサンドリアのオールドタウンのある家。骸骨、クモ、クモの巣状のハロウィーン装飾が目を引く=チェ・ソンジン記者//ハンギョレ新聞社

 29日夜にソウル梨泰院(イテウォン)で大規模な圧死事故を招いたハロウィーンは、米国の代表的な秋祭りのひとつで、アイルランドに住んでいたケルト人が毎年10月31日に行っていたサウィン(Samhain)祭にルーツがあると伝えられる。

 古代ケルト人たちはこの日を、死者の魂が来世に旅立つ前に人間世界を訪れる日だと考えた。食べ物を並べて死の神に対して祭祀を行う一方、この時に開かれた地下世界の門を通って共に上がってきた悪霊が家の中に入って来ないように、家の扉の前に食べ物と酒を供えた。食事するだけで帰ってくれとの趣旨だ。また悪霊が自分を悪霊の一員だと考えるように奇怪な姿に扮装する風習があったが、これがハロウィーンの原型だ。

 ハロウィーンは、18世紀までは米国に移住した25万人あまりのアイルランドやスコットランドからの移民がニューイングランドとメリーランド、そして一部の南部地域で行う祭りにとどまっていたが、1840年代中盤のジャガイモ疫病から始まった大飢饉で100万人のアイルランド人が米国に渡ってきて定着したことで、ハロウィーンも米国全域に広がった。生前に多くの悪行を犯したため天国と地獄のどちらにも行けなかった「けちんぼジャック」の魂が持ち歩いていたというカボチャの形をした提灯「ジャック・オ・ランタン」もこの時、共に広まった。これは大きなカボチャの中身をくり抜き、その中にろうそくを固定したもので、今日のハロウィーンの象徴となっている。くり抜いたカボチャの中身はカボチャパイやスープの材料として使われる。

多くの米国人は10月になると「ジャック・オ・ランタン」を作るためにカボチャ農場、すなわち「パンプキンパッチ」を訪れる。ハロウィーンを控えた10月11日、米国メリーランド州モンゴメリー郡にあるパンプキンパッチでカボチャを販売している=チェ・ソンジン記者//ハンギョレ新聞社

 ハロウィーンになると、米国の多くの家庭では様々な形や色のジャック・オ・ランタンや、クモ、骸骨、魔女などのハロウィーンを象徴する様々な装飾で家の内外を飾る。子どもたちは各種の怪物やフランケンシュタイン、魔女、ドラキュラなどに扮装し、ハロウィーンの装飾がある家々を回ってキャンディーやチョコレートをもらうが、この時に叫ぶ言葉が「トリック・オア・トリート」だ。これは「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」という意味。米国の代表的なスーパーであるコストコ、ホールフーズ、トレーダージョーズなどではハロウィーンに先立って親子のために様々なチョコレートやクッキー、扮装道具などの記念商品を販売する。

10月13日、米国バージニア州アレクサンドリアのオールドタウンのある家。ハロウィーン装飾で視線を集めている=チェ・ソンジン記者//ハンギョレ新聞社

 ハロウィーンがいつ、どのようなきっかけで韓国に流入したのかははっきりしない。ただ、一部の文化研究者を中心として、米国のハロウィーンが日本を経てコスチュームプレイ、すなわち「コスプレ」と結合し、その後、改めて韓国のソウル梨泰院(イテウォン)や弘大(ホンデ)などに伝わったという分析がなされている。時期的には2000年代半ば以降、梨泰院が急激に商業化される時期と一致する。

 特に最近では、保育所や英語幼稚園などでもこの日を記念してファッションショーやパーティーを開く雰囲気が急速に広がっている。ソウル蘆原区(ノウォング)に住むLさん(44)は「7歳の息子が通う小学校付設幼稚園では毎年ハロウィーンイベントを開いているが、今年も子どもたちが参加するハロウィーン・ファッションショーと、あらかじめ約束してある場所を回っておやつをもらうトリック・オア・トリート・イベントを行った」と語った。

 慶煕大学グローバルコミュニケーション学部のイ・テックァン教授は30日、本紙の電話取材に対し、ハロウィーンの流行を「商業化」と「ソーシャルメディア」という2つのキーワードで説明した。イ教授は「米国の代表的な祭りといえるハロウィーンが日本でコスプレと結びついて本格的に商業化の様相を呈し、韓国にはそのようなルートを通じて商業化したハロウィーンが上陸した。その後、若い世代の文化として固定化した」とし、「特にインスタグラムなどのソーシャルメディアを通じて自己のアイデンティティを確認しようとする若い世代を中心に、最も強い効果を与えうるビジュアル的要素としてのハロウィーンが脚光を浴びるようになった」と述べた。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1064860.html韓国語原文入力:2022-10-30 12:27
訳D.K

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