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韓国、経常収支赤字「警告灯」…為替レート不安など複合危機が長期化

登録:2022-09-08 06:49 修正:2022-09-08 07:56
ウォン安ドル高が急速に進み、13年5カ月ぶりに1ドル=1380ウォン台を突破した7日午後、ソウル中区のハナ銀行本店のディーリングルームで行員が業務を行っている/聯合ニュース

 国内経済の対外健全性などを左右する経常収支が非常事態になった。原油などの輸入原材料の価格の急騰と急激なウォン安ドル高などにより、貿易赤字がさらに増加し、経常収支も「構造的赤字」に陥る可能性が少なくないからだ。経常収支の赤字が固定化すれば、為替レート不安など韓国経済全般に暗雲がただよう可能性がある。

 韓国銀行が7日に発表した「国際収支暫定統計」によると、7月の経常収支は10億9000万ドルの黒字で、昨年7月に比べて66億2000万ドル急減した。前年比の黒字減少幅は、2011年5月(78億9700万ドル)以降の11年2カ月では最大となる。原油や石炭などのエネルギー類の原材料を中心に輸入額が急増し、経常収支で最大の割合を占める商品収支(商品輸出-商品輸入)が大幅な赤字に転落したわけだ。8月の貿易収支の大規模な赤字(94億7000万ドル)を受け、8月に経常収支が黒字基調を維持できるかどうかは不確実だというのが韓国銀行の判断だ。

 これまで政府は、関税庁が集計する貿易収支赤字が過去最大規模に増加しても、経常収支には大きな問題はないとする立場を示していた。通関ベースである貿易収支は、経常収支より輸出額を少なく計上し、輸入額はより多く反映するという理由からだ。

 しかし、すでに状況が変わっている様相だ。チョ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は、5日に開かれた非常マクロ経済金融会議で「総合的な対外取引指標である経常収支も、高い不確実性により、当面は月別では変動性が大きくなるものとみられる」としたうえで、「最近の国際エネルギー価格の上昇や中国などのグローバル需要の鈍化などにより貿易収支が悪化し、今後、経常収支の黒字が縮小する可能性がある」と述べた。ウォン安にもかかわらず輸出増加率が1桁台に鈍化した一方で輸入物価は上昇し、経常収支の黒字維持も安心できないという話だ。

 もちろん、月間の経常収支が赤字で転換したとしても、すぐには韓国経済に強い衝撃を与えるものではないというのが一般的な見方だ。世界第9位の外貨準備高と、為替危機発生時の1997年(経常収支は108億1200万ドルの赤字)以来25年間続いた年間の経常収支の黒字により、韓国経済が過去のような外債危機を経験する可能性は低いからだ。

 問題は、経常収支の悪化が固定化する可能性だ。韓国銀行はこの日発行した報告書「高インフレーションの持続可能性点検」で、「主要国の物価上昇率が今年下半期中にピークを記録した後、次第に鈍化するという予想がある」としながらも、「原材料価格の反騰などにより、物価上昇が続く可能性が残っている」と指摘した。主要産油国の少ない石油在庫量、ロシアの欧州への天然ガス供給の一部中断などにより、原油価格などの原材料価格が再び上昇する可能性が高いという意味だ。輸入原材料価格がふたたび高騰すれば、貿易収支の赤字幅はさらに広がり、月間の経常収支は当面は赤字を示し続けることになりうる。延世大学のソン・テユン教授(経済学部)は「経常収支の赤字で今すぐ危機が発生するわけではないが、外国為替市場が揺らぎ、為替レート不安や経済活動の不確実性の拡大など経済全般に悪い影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1057944.html韓国語原文入力:2022-09-08 02:13
訳M.S

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