台風11号「ヒンナムノー」が最後の猛威を振るった6日午前、慶尚北道浦項市南区(ポハンシ・ナムグ)のマンションの地下駐車場で多数の人命被害が発生し、地下空間の浸水の危険性が改めて浮き彫りになっている。先月にはソウル瑞草区(ソチョグ)のビルでも地下駐車場が浸水し、市民が死亡している。専門家は、豪雨の際には都心の地下空間に下りることは避けるべきだと語る。
地下駐車場は、ひとたび浸水が始まれば避難は容易ではない。地下空間の面積は非常に広く、浸水時の水流も非常に速いからだ。防災管理研究センターの実験によると、地上の浸水の高さが60センチの時、地下空間はわずか5分40秒で水位が75~90センチに達する。
専門家は、豪雨の際には都心の地下駐車場は一種の「巨大な下水道」となりうるため、浸水のはじまった地下駐車場に下りて行ってはならないと助言する。ソウル市立大学のイ・ヨンジュ教授(消防防災学)は、「地下駐車場は地下空間の中でも面積がかなり広いため避難が容易ではなく、対応も難しい。建物内に水が入ってきて浸水がはじまったら、地下駐車場に行くのは非常に危険な行為」だと語った。
建物への浸水がはじまったら、管理者は車を外に移動させようとする入居者らの地下駐車場への接近を自粛させ、防止しなければならない。逆に今回の浦項の行方不明事故では、管理事務所は車の浸水を防ぐために地下駐車場内の車を移動するよう案内放送を行ったという。
イ教授は「車の浸水を防ぐために台風が来る前にあらかじめ移動させておくことは可能かもしれないが、すでに浸水が進んでいる状況では接近してはならない。一斉に住民が押し寄せる危険性が生じる恐れがある」と語った。激しい水の流れで車が止まり、出口や通路を塞いでしまったら、後続車も身動きが取れずに閉じ込められる恐れがある。インターネットには、浸水のはじまった地下駐車場を急いで抜け出そうとする車で「地下渋滞」が起きている映像があげられてもいる。
地下駐車場の浸水は、感電などの2次被害を引き起こす恐れがある。地下駐車場のある大きな建物の多くは、駐車場内に電気室や機械室が設置されている。