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韓国行政安全部長官の「クーデターに他ならない」発言に…警察官「恥を知れ」と反発

登録:2022-07-26 06:10 修正:2022-08-18 20:59
イ・サンミン行政安全部長官が今月25日午前、政府ソウル庁舎のブリーフィング室で行政安全部内の警察局の新設および最近の全国警察署長会議に対する立場を表明している/聯合ニュース

 イ・サンミン行政安全部長官が、警察局の新設に反対する全国警察署長会議を新軍部が起こした粛軍クーデターに喩えて批判し、波紋が広がっている。イ長官は「警察は武器も所持できる」とし、このような会議を放置すれば、銃器を持った警察が政府転覆に乗り出す可能性もあるという常識外れの認識を繰り返し示した。

 「私も懲戒せよ」と警監・警衛(それぞれ日本の警部・警部補に相当)級まで広がった警察内部の反発を管理すべき長官が、現実性のない警察内乱の可能性に言及し、むしろ火に油を注いだ格好だ。任命当時にもこれといった行政経験より尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の高校・大学の後輩という点が強調されたイ長官が、国務委員として能力と資質を備えているかに対する疑念が高まっている。

 イ長官は25日、政府ソウル庁舎でブリーフィングを開き、全国警察署長会議を「特定グループが主導する非常に危険な行為」だと批判し、このような認識を明らかにした。イ長官は「警察は物理力と強制力、ましてや武器も所持できる。任意的かつ恣意的に1カ所に集まって会議を行うのは非常に危険だ」と述べた。

 さらに「ハナ会(全斗煥等が結成した軍内私組織)が粛軍クーデターを起こしたのがまさにこのような集まりから始まった。武装できる組織が上部の指示に違反して任意的に集まって政府施策に反対するのは非常に危険だ」とし、何度も警察の武装可能性に言及した。物理力を持った警察が政府政策に反対するだけでも内乱につながりかねないという主張だ。イ長官は「単純な懲戒を越えて懲役1年以下、2年以下など刑事処罰まで適用される事案」だとし、警察署長会議の出席者らに対する重い懲戒が避けられないという考えを示した。

 イ長官は同日、国会で開かれた対政府質問でもクーデター発言を撤回しなかった。長官は「大韓民国のすべての警察がそうだというのではなく、今回の事態にかかわった警察官がそうだということだ。むしろ彼らが黙々と熱心に自分の仕事をしている他の警察の名誉を毀損している」と主張した。

 長官は「警察の特定のグループ」が誰なのかについては具体的に触れなかったが、警察大学出身を念頭に置いていることを示唆した。入職ルートが多様な警察組織を一つにまとめなければならない行政安全部長官が、警察内部の分裂を図り、対立を助長したのだ。ある総警(日本の警視正に相当)は「警察大学出身ではない人は警察局をめぐる議論にも関心がないだろうと無視するのか」と語った。警衛公開採用(旧幹部候補生)出身のある総警は、「特定のグループで期数別に一丸となって国家転覆を図ったハナ会と、意見交換のために集まった警察署長会議を比較するのはあり得ないことだと、国民も思うだろう。長官の行き過ぎた表現がかえって議論を台無しにしている」と批判した。

共に民主党のパク・ポムゲ議員が今月25日午後、ソウル汝矣島の国会本会議場で開かれた政治・外交・統一・安保分野の対政府質問でイ・サンミン行政安全部長官に質問している/聯合ニュース

 大統領室も前日のキム・デギ秘書室長に続き、2日連続で警察に対する攻勢に乗り出した。カン・スンギュ大統領室市民社会首席は同日、CBSのラジオ番組「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、警察署長たちを「地域司令官」に喩え、「警察署長は、警察は武器も持っている。上部が解散を指示したにもかかわらず、これに従わなかったのは服務規定違反だ」と述べた。

 カン首席は「警察内部に一部誤解があるならば、積極的に意思疎通をして解決しなければならない」としながらも、このような解決策の代わりにイ長官の常識外れのクーデター発言と認識を共有し、強硬対応を求めた。尹錫悦大統領は同日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室に出勤し、「行政安全部と警察庁で必要な措置を取っていくと思う」と述べた。クーデター発言を前面に出した大規模の監察や懲戒など、力で押さえつける解決策を追認したものとみられる。

 イ長官のクーデター発言を受け、警察内部の世論は臨界点を超えた格好だ。警察はこの日、ソウル西大門区(ソデムング)の警察庁の向い側の警察記念公園に「国民の警察は死んだ」などと書かれた謹弔花輪を30個余りを送った。警察のイントラネットの掲示板にも「長官ともあろう方が、組織の方向性を討論するために総警が集まったことをクーデターに準ずると評するのは恥ずべきことだ」などの文が相次いだ。

 警察署長会議に参加したある総警は、イ長官が警察署長会議を「軍で言うと各自の衛守地域を空けたことに他ならない」と言及した部分を取り上げ、「衛守地域はすでに2019年、軍でも廃止された概念だ。長官は衛守令が作られた李承晩(イ・スンマン)大統領時代の認識に留まっているのではないか」と皮肉った。

 30日に予告された警衛・警監級全国現場チーム長会議への出席を督励する動きも続いている。主に警監が担当する地区隊と交番は全国2000カ所に達する。

パク・スジ、チョン・ジョンフィ、チョ・ユニョン、クァク・ジンサン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1052299.html韓国語原文入力: 2022-07-26 02:41
訳H.J

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