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仁川海洋警察「北朝鮮に銃撃された公務員、自ら越北したと断定するに足る根拠なし」

登録:2022-06-17 02:34 修正:2022-06-17 08:43
仁川海洋警察署のパク・サンチュン署長(左)と国防部国防政策室政策企画課のユン・ヒョンジン課長が16日午後、仁川市延寿区の仁川海洋警察署でそれぞれ「西海公務員銃撃事件」の最終捜査結果ブリーフィングと追加説明を終えた後、取材陣に頭を下げている/聯合ニュース

 仁川(インチョン)海洋警察署は、2020年9月21日に西海(ソヘ)北端の小延坪島(ソヨンピョンド)付近の海上で行方不明になり、その後、北朝鮮で銃撃され死亡した海洋水産部の公務員Lさん(当時47歳)について、自主的な越北(北朝鮮に渡ること)とは断定できないとする捜査結果を発表した。国防部はすでに、自主的な越北と推定されると述べたことを謝罪している。

 仁川海洋警察署のパク・サンチュン署長は16日、「海洋水産部公務員銃撃事件」についてブリーフィングを行い、「国防部の発表などにもとづき、銃撃を受けた公務員の越北などの様々な可能性を考慮して、現場調査や国際司法協力などによる総合的な捜査を進めたが、越北の意図を認めるに足る証拠は発見できなかった」と明らかにした。国防部政策企画課のユン・ヒョンジン課長も「国民を混乱させてしまった。保安の関係上、すべては公開できないことによって、より多くの事実をお知らせできなかったことについても遺憾に思う」と述べた。

 海洋警察庁は中間捜査結果を説明する2020年9月29日のブリーフィングで、Lさんが自ら越北したと判断すると述べた。その日、海警庁は「行方不明者が北朝鮮側の海域で発見された際、脱力した状態で浮遊物にもたれかかって救命胴衣を着ていたこと、行方不明者のみが知っている本人の名前、年齢、出身地、身長などの個人情報を北朝鮮が把握していたこと、行方不明者が越北の意思を表現していたことを確認した」、「捜査チームは、行方不明者が救命胴衣を着ていたことを考慮すると、単なる転落や自殺企図の可能性は非常に低いと判断する」と述べている。

 当局は、判断を変更したのは新たな証拠を確保したからではないと述べた。仁川海警署のキム・デハン捜査課長は「いかなる疑惑も残らないよう捜査したが、最終的に北朝鮮の海域に意図的に行ったと認められる証拠は発見できなかった」と語った。情況と推定以上の越北の証拠は確保できなかったため、判断を変えたということだ。

 いっぽう政府は、Lさんの遺族が大統領府(現大統領室)や海洋警察などを相手取って起こした情報公開拒否処分取り消し訴訟の原告勝訴の1審判決に対する控訴を取り下げた。大統領室国家安保室はこの日、報道資料を発表し、その中で「控訴の取り下げにより、1審判決が確定する予定」だとし、「今回の決定が、韓国国民が北朝鮮軍に殺害されたにもかかわらず、遺族に対し死亡の経緯についても十分に知らせずに情報を制限した過去の不当な措置を是正するとともに、国民の知る権利の充足に少しでも寄与することを期待する」と述べた。ただし、控訴は取り下げられたものの、大統領室の関連資料は公開が数十年間できない大統領指定記録物としてすべて移管されたため、遺族たちが見ることはできない。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は大統領候補時代の昨年12月に「私が政権を取れば、西海公務員殺害事件の当時の関連資料を公開する」と約束している。この日、大統領室は、キム・テヒョ国家安保室第1次長が尹大統領に代わって遺族である故人の実兄、イ・レジンさんと電話で話したということも公開した。

 遺族は17日に、ソウル地方弁護士会の弁護士会館5階の人権室で記者会見を行い、政府発表についての立場を表明する予定だ。イ・レジンさんは本紙の電話取材に対し「前政権とは完全に異なる措置だ。(尹錫悦)大統領に感謝の言葉を伝えた」とし、「(越北と判断した過去の海洋警察の関係者を相手取って)民事訴訟とともに刑事告発も行う考えだ」と述べた。

イ・スンウク、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1047325.html韓国語原文入力:2022-06-16 17:37
訳D.K

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