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ロシア、ルーブル高騰で金利引き下げ…予想が外れた理由は

登録:2022-05-31 06:48 修正:2022-06-01 06:23
ウクライナ戦争の開始後、ロシアのルーブルの価値は予想と違い高騰している/AFP・聯合ニュース

 全世界的な金利引き上げの波のなか、ロシアが事実上“唯一”、金利を引き下げている。

 ロシアの中央銀行のロシア銀行は26日、臨時金融政策決定会議を開催し、基準金利を14%から11%に引き下げた。今年に入り3回目の金利引き下げとなる。ロシア銀行は2月末にロシアがウクライナに侵攻した直後、西側の相次ぐ制裁により、1ドル75ルーブルの水準だった為替レートが150ルーブルまで暴落すると、金利を20%に引き上げた。しかし、3月末になりルーブルの価値が逆に60ルーブル台にまで上昇すると、金利引き下げを通じて景気浮揚に乗り出したかたちだ。ロシア銀行はこの日の声明で「インフレ圧力は和らいでいるが、(西側の経済制裁の余波で)融資などは今もなお元に戻っていない」とし、金融緩和の必要性を指摘した。

 当初の予想と違いルーブルの価値が上がった最大の理由は、エネルギー価格の上昇による経常収支の黒字によるものだ。ロシアは戦争直後に金利を引き上げ、ドルなどの外貨の流出禁止など資本統制を実施した。暴落するルーブルの価値を支えるためだった。その過程で西側の経済制裁により主要品目を輸入できず、ドルなどを使えなくなり、ルーブルの価値が上がった。

 しかし、最大の理由は、戦争の余波と西側の経済制裁により、石油と天然ガスなどのエネルギー価格が高騰したためだ。それにより、ロシアの経常収支は、第1四半期に記録的な580億ドルの黒字を計上し、今年1年では2500億ドルを記録する見通しだ。その大金がそのまま蓄積され、ルーブルの価値を引き上げているのだ。

 ルーブルの価値が上がり、物価上昇の圧力も減っている。ロシア銀行は、今年の物価上昇率を18~23%と予測していたが、国際金融研究所(IIF)のエリナ・リバコワ研究員は、インフレ圧力が4月の17.8%から5月20日時点では17.5%に減少していると指摘した。ロシア銀行は、来年の物価上昇率を5~7%、2024年は4%と予測している。このような状況は、ロシアに対する西側の経済制裁が期待したほどの効果を上げられずにいることを示している。当初は経済制裁でルーブルが暴落し、ロシアが激しいインフレに苦しみ、経済が破綻に至るという予測が多かったが、そうはなっていない。

 しかし、ロシア経済は、長期的には厳しい時間を耐え抜かなければならないとみられる。西側の経済制裁と多国籍企業の事業撤退により、中長期的な打撃は避けられないからだ。一例として、2月末の開戦以降、自動車会社が相次いで操業を止め、4月のロシアの新車販売台数は、昨年同期間に比べ80%も減少した。西側の禁輸措置や多国籍企業の事業撤退による品不足で、サプライチェーン全体に混乱が発生する現象も観察されている。ロシア中央銀行は、今年の実質国内総生産(GDP)は昨年に比べ8~10%減少し、来年もマイナス3%の成長率を記録すると予測した。ロシアがこのような状況を乗り越えられるかどうかは、今後のウクライナ戦争の推移と、それにともなう西側の制裁解除の可否にかかっている。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1044938.html韓国語原文入力:2022-05-30 17:01
訳M.S

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