「ブチャ虐殺」に対するロシアの責任を問い、米国が6日(現地時間)に発表した追加の制裁措置のうち特に目を引くのは、米国の金融機関内にあるロシア政府の口座を通じて債務支払いができないよう阻止した点だ。ロシアを狙った様々な制裁にもかかわらずルーブルの価値が反発する兆しをみせると、直接締め付けてデフォルト(債務不履行)を誘導したということだ。
ホワイトハウスの高官は同日、今回の制裁措置について説明する記者会見で、「今月4日、我々は凍結された中央銀行ファンドを通じて債務を支払おうとするロシアの能力を遮断した。そのため、ロシアはデフォルトを避けるためには、米国外でドル資源を探し出し、米国の銀行を通さずに(債務を返済する)新たな支払い方法を作らなければならない」と明らかにした。今回の措置が債務支払いのために必要なロシアの「資金」と「移動通路」の両方を防ぐためのものであることを明確にしたのだ。
米財務省は4日、このような措置を取ることにした事実を公開し「ロシアは残っているドル保有高を使いつくすか、新たな収入を得るか、または不渡りを出すかを選択しなければならない」と述べている。米国はこれに先立ち、ウクライナに侵攻したロシアを国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除し、米国の銀行に預けられたロシア所有の外国為替を凍結したが、この資金を利用した外国債券の支払いは許可する猶予措置を取っていた。
米国が直接ロシアの債務支払いを妨げるカードを切ったことで、ロシアは事実上、デフォルトの危機に追い込まれることになった。ロシアは4日に20億ドルの債務と8400万ドルの利払いの満期日を迎えた状態だった。日本経済新聞は、ドル建て国債20億ドルのうち72.4%は自国通貨ルーブル建てで買い戻したとし。残高は5億5240万ドル程度だと報じた。
ロシアは当惑を隠さなかった。ロシア財務省は同日、ある外国銀行が2件の債券に対する利子6億4900万ドルの支払い業務を拒否したと発表した。財務省はこれらがどの銀行かは具体的に明らかにしなかったが、ロイター通信は消息筋の話として、ロシアの国債関連業務を代行する米J.P.モルガン銀行の利払い業務が米財務省によって4日に止められたと伝えた。だが、最終的なデフォルトに至るまで30日間の猶予期間があり、正式な不渡りに至ったわけではない。
ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、「ロシアは債務支払いに必要な財源を確保しているが、債務支払いが阻止されれば(今後は)ルーブルで支払う」と述べた。ペスコフ報道官は、「理論的に見れば、デフォルトの状態を作り出しうるが、これは純粋に人為的なものだ」とし、ロシアが実質的なデフォルトの状況に陥る理由はないと主張した。