コウモリ発のコロナウイルスによるパンデミックが収まりつつある中、また別の人獣共通感染症である「サル痘」(monkeypox)が広がっており、世の界保健当局と科学界を緊張させている。
世界保健機関(WHO)の説明を総合すると、13日から21日午後1時(現地時間)までの間にサル痘の感染が確認された国は、英国や米国など12カ国で、感染者は92人、感染疑いは28人。WHOに報告された最初の事例は5月13日、英国のある家庭で3人が感染した件だった。感染者はスペインが30人で最も多く、英国(20人)、ポルトガル(14人)などの順。これまでほとんどがアフリカでのみ発見されてきたが、今年に入って感染確認または疑い事例が、米国や欧州など、もともと報告されていなかった12カ国で発生した。
サル痘ウイルスは天然痘ウイルスの「いとこ」と言える。症状も天然痘と似ていて、かゆみを誘発する発疹がぶつぶつと全身に現れるのと同時に、インフルエンザと似た高熱と痛みを伴う。発疹は後に膿の充満した水ぶくれになる。感染後、症状が発現するまでの潜伏期間は通常6~13日。症状の持続期間は14~21日で、自然に回復する場合が多く、最近の致命率は3~6%前後だ。感染者の発疹や体液、呼吸器飛沫(唾液)、寝具など汚染された物質との接触を通じて人との間で感染する特徴がある。
サル痘という名前がついたのは、1958年に実験室にいたサルから初めて発見されたためだ。名前はサル痘だが、病気の宿主はアフリカに生息するげっ歯類と推定される。主にアフリカ熱帯雨林のサルから多く発生し、人からは1970年にコンゴ民主共和国の子どもから初めて発見された。アフリカでは、西部と中部地域を中心に年平均数千件が発生するという。主な発生地はコンゴ民主共和国。
アフリカ以外の地域では、アフリカへの旅行者やアフリカから輸入した動物から発生した事例があったが、非常に珍しかった。ところが今回は、発生の様相が以前とは明確に違う。ここ数週間発生した事例だけでもすでに1970年以降の全体発生件数を越えたほど、増加傾向がはっきりしている。
ただし、大流行に発展する可能性は低いとみられている。米陸軍感染医学研究所のジェイ・フーパー博士(ウイルス学)は、科学学術誌「ネイチャー」に「サル痘は新型コロナ感染症ほどのウイルス疾病ではない」と述べた。彼は2つの理由を挙げた。まず、サル痘は人と人との間での感染が容易には起きない。二つ目に、すでに多くの治療剤とワクチンが用意されている天然痘ウイルスと似ているという点だ。
コロナウイルスは主にエアロゾルという小さな飛沫を通じて広がる。一方、サル痘ウイルスは唾液のような体液と密接な接触を通じて伝播される。これは、サル痘にかかっても他人に伝染させる可能性は相対的にかなり低いことを意味すると、フーパー博士は述べた。天然痘ワクチンはサル痘ウイルスにも85%の免疫効果がある。また、サル痘用ワクチンと治療剤もすでに開発されている。
韓国の防疫当局も、国内発生に備えた検査・診断システムを構築したと発表した。疾病管理庁は22日、「2016年に『サル痘診断検査法及び試薬』の開発と評価を完了した」とし、「サル痘が国内に流入した場合、迅速に患者を鑑別することで流行を効果的に遮断することができる」と述べた。
現在、韓国ではサル痘患者は報告されていない。疾病庁は「海外旅行の増加と最長21日の比較的長い潜伏期間などの影響を考えると、国内流入の可能性を排除できない状況」だと説明した。