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韓米「金利逆転」の時は外国人投資資金が流出?…そうではない事例もある

登録:2022-04-15 09:06 修正:2022-04-15 12:22
ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会議長/UPI・聯合ニュース

 米連邦準備制度(Fed)が急速に金利引き上げに乗り出す可能性が高まり、米国の政策金利が韓国の基準金利より高くなる「金利逆転」への懸念が一部から出ている。米国より危険な投資先である韓国は、金利の魅力まで落ちた場合、外国人投資家の資金が流出する可能性があるということだ。

 しかし市場の専門家らは、投資資金は両国の金利水準だけでなく、為替相場や国家信任度など様々な要素を考慮して移動するという点を強調し、金利差だけに注目した不安は行き過ぎだという見解を示している。両国間の金利が逆転した過去の時期にも、外国人投資資金はかえって純流入(流入量の方が流出量より多い)した事例があった。

韓米金利逆転の時も187億ドル純流入

 米国の政策金利が韓国の基準金利より高かった最近の時期は、2018年3月から2019年10月までだ。13日に確認した韓国銀行の「外国人証券投資資金流出入資料」によると、この期間中、外国人投資資金は証券と債券の投資資金を合わせて187億ドルが純流入した。具体的には、15カ月は純流入、5が月は純流出だった。投資対象を基準にみると、外国人投資家の株式資金は総額13億ドル純流出したが、債券投資資金は200億ドル純流入した。

 LG経営研究院のチョ・ヨンム研究委員は、「(韓米の金利逆転の時は)金利面で米国への投資が有利に見えるが、為替面では国内投資の方が有利な場合がある」とし、「投資家は金利逆転と同じくらい為替相場による期待投資収益率も非常に重要視する」と話した。韓米の金利逆転で韓国投資に対する利益が減っても、ウォン高が予想され為替差益が期待されたり、為替ヘッジの過程で追加収益を上げることができれば、資金を回収しないということだ。

 メリッツ証券のユン・ヨサム研究員は、「外国人投資家らは金利差だけを見るのではなく、為替ヘッジの手数料のスワップレート基準収益と費用も考慮する」とし「直前の韓米金利逆転の際、外国人投資家は韓国経済の金利の魅力が低くても、為替差益を高めながら債券投資を増やした」と明かした。

 過去の事例をみると、金利差、為替レートだけでなく、財政状況、経常収支、国家信用格付けといった要素も外国人投資資金の行方に影響を及ぼしたものと分析される。金利の魅力が多少落ちても、他の経済環境が良ければ外国人投資資金が流入するということだ。実際、2018~2019年に韓国経済は過去最高の国家信用格付けの維持、経常収支の黒字、統合財政収支の黒字、外貨準備高の4億ドル突破などを記録し、外国人投資資金の流出を一部防いだ。

韓銀の金利引き上げ、韓国経済の環境に合わせるべき

 したがって韓銀が今後、基準金利を決定する際、米国との金利逆転による資金流出の可能性を懸念しすぎるよりは、国内経済の環境にもっと集中して判断すべきだという指摘が出ている。チョ・ヨンム研究委員は、「韓米金利が逆転したからといって、直ちに外国人投資資金が流出するとみるのは単純すぎる」とし、「過去の外国人投資家が為替レート、国家信任度など複雑な方程式で資金を運用したという点を念頭に置かなければならない」と話した。韓国銀行のイ・チャンヨン総裁候補も最近、似たような見方を示したことがある。同氏は今月1日、「韓米の金利差による資本流出の可能性は、金利だけでなく為替レートに対する期待心理、経済全体の基礎体力(ファンダメンタル)など様々な変数にかかっており、必ずしも流出がすぐに起きるとは考えられない」と述べた。

 直前の韓米の金利逆転の時と現在の経済状況の共通点と違いもよく見るべきだ。2018~2019年とは異なり、最近のウォン相場は1230ウォンまで上昇し、ウォン安が進んでいる。また、Fedが22年ぶりにビッグステップ(0.5ポイント金利引き上げ)に乗り出し、過去より金利の逆転幅も大きくなる可能性がある。経常収支の黒字幅が縮小し、財政収支が悪化した点も否定的な部分だ。これは以前より外国人投資資金の流出を刺激する要因だ。一方、依然として経済成長率と国家信用格付け、外貨準備高などは全世界において良好な水準に属しているという点は、外国人投資資金の流出防御に役立つと見られる。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1038854.html韓国語原文入力:2022-04-1408:24
訳C.M

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