本文に移動

アン・チョルス「首相にはならない」…来年、党の主導権狙うか

登録:2022-03-31 04:30 修正:2022-03-31 08:53
大統領職引き継ぎ委員会のアン・チョルス委員長が30日午前、ソウル鍾路区通義洞の引き継ぎ委のオフィスで記者懇談会を行っている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 大統領職引き継ぎ委員会のアン・チョルス委員長は30日、新政権の首相は務めないと宣言した。アン委員長は引き継ぎ委員長の活動が終わり次第、党に復帰して政治的基盤を確保するものとみられる。

 アン委員長はこの日、ソウル通義洞(トンウィドン)の引き継ぎ委の記者会見場で懇談会を行い、「引き継ぎ委員長として次の政権についての青写真と良い見取り図の方向性を描いた後は、直に内閣に参加しない方が、むしろ尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の負担を軽減することになる」と述べた。アン委員長は前日に尹次期大統領に会い、首相を務めない考えを伝えた。アン委員長は「次期大統領には、ご本人の意志を発揮できる空間を開いておく方が良いのではないかと思うようになった」とし「尹次期大統領が意志を発揮できるよう、ご自身で本当に自らの国政運営の方向性に合う良い方を探すよう伝えた」と述べた。ただし「尹次期大統領に首相候補者を推薦したのか」との問いには「していない。私が自ら首相になるより、むしろ次期大統領が意志を発揮できるよう、本当に国政運営の方向性に合う方を探すべきだと申し上げた」と答えた。

 アン委員長が新政権の内閣入りではなく党への復帰を宣言したのは、脆弱な党内支持基盤を確保し、次期大統領選挙でいち早く優位に立とうという意図があるとみられる。5年後の次期大統領選挙に挑戦する可能性を念頭に置いて、行政家としての経験よりも党内勢力の拡張が必要だと判断したわけだ。また、アンラボ株の処分問題が影響を及ぼしたのではないかとの見方もある。アン委員長の全財産の90%以上を占める数千億ウォン台の株を白紙信託することが現実的に難しかったとの指摘だ。国民の力の一部からは、与党の強い拒否の雰囲気と、首相では現職大統領との差別化が難しいということを考慮した、との解釈も示されている。国民の力のある有力議員は「一本化などで感情が良くない民主党内から拒否されることは明らかなのであえてその道を行く必要はないだろう」とし「次期大統領選挙を狙うなら、現職大統領と差別化しにくい首相よりも、党の主導権の方が賢明な選択だと考えたのだろう。歴代の大統領に首相出身者は一人もいない」と述べた。アン委員長が首相職を固辞することで、連立政府において長官職などの要職をより多く確保できるというメリットもある。アン委員長はコロナ非常対応特別委員会のブリーフィングで「国民の前で連立政府を約束した。その精神にもとづいて、私が専門性を持っている分野で優れた長官候補を推薦するつもりだ」と強調している。

 国民の力と国民の党の統合が終われば、アン委員長は政界入りから10年で初めて与党の有力な大統領候補になる。アン委員長は「現在の民意は、両政党に対する失望が非常に大きいというのは客観的事実」だとし「こうした部分を払拭するための努力が必要であり、そのために働く」と強調した。

 アン委員長が党の主導権確保へと向かったことで、今後の党内の力関係の変化にも関心が集まっている。間もなく長年の悪縁でありライバルでもある国民の力のイ・ジュンソク代表との「不都合な同居」が始まるとみられる。一部からは、合併後、アン委員長とイ代表の共同代表体制で党が運営される可能性、または6・1地方選挙での共同選挙対策委員長の可能性などが指摘されている。アン委員長はひとまず、イ代表の残りの任期を尊重する考えを明らかにしている。アン委員長は「イ・ジュンソク代表の任期は来年までなので、今はそれ(党代表就任)は考えていない」と述べた。しかし、1年後に次期党代表に挑戦する可能性は残した。アン委員長は「1年後はかなり先の話だ。様々なことが起こるのではないか。挑戦するならその時になって判断するつもり」と述べた。

 アン委員長はこの日の記者懇談会で「私が政治を始めたのは、社会から疎外され、困難にある方たちを助けるためだった」とし、全国障害者差別撤廃連帯(全障連)の地下鉄通勤デモに対する共感を示した。アン委員長は「私が引き継ぎ委の当該分科幹事と引き継ぎ委員を(障害者移動権デモの)現場に送ったのは、彼らの意見を聞き、引き継ぎ委の政策、次の政権の青写真に反映するという意志を表現したもの」と述べた。激しく「障害者憎悪」発言を続けているイ代表との差別化を図っているとも指摘されている。

ぺ・ジヒョン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1036843.html韓国語原文入力:2022-03-30 15:53
訳D.K

関連記事