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韓国「保守の聖地」となった朴槿恵前大統領の大邱の私邸

登録:2022-02-24 05:47 修正:2022-02-24 07:32
今月22日昼、大邱市達城郡瑜伽邑雙溪里の朴槿恵前大統領の自宅前に大型の太極旗が広げられている=キム・ギュヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 「ちょっと、家全部見えるように撮ってよ」

 「家が大きすぎて、一発で(一枚に)は収まらない」

 22日午前11時ごろ訪れた大邱市達城郡瑜伽邑双溪里(テグシ・タルソングン・ユガウプ・サンゲリ)のある田園住宅の前は、家を背景に記念写真を撮る人々で賑わっていた。大邱市役所から車で40分ほど走って到着したここは、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が退院してから暮らす家だ。

 瑜伽邑の大邱テクノポリス団地に入る表示板を過ぎ、村の入り口から支持者たちが朴前大統領の自宅前の丘にかけておいた大型の太極旗(縦7メートル×横10メートル)が目を引いた。お昼頃に集まった訪問者はいつの間にか50人を超えた。

 大邱市逹西区(タルソグ)から友人4人と一緒に来たというPさん(69)は「(朴前大統領が)入居した後は警護が厳しくなり、来るのが難しいかもしれないから、静かなときに見ようと思って足を運んだ。朴槿恵大統領が在職中に人選を誤って罪を犯したが、故郷に帰るという話を聞いて嬉しくなり、気になって訪れた」と語った。

 大邱北区(プクグ)から来たというKさん(57)は「敬愛する大統領だから、(自宅を)見に来た。日当たりのいい場所にあるので、場所はいいと思うが、裏山に登ると家全体が見えるようで心配だ」と話した。インターネット放送を通じてリアルタイムで家の前の状況を中継する人もいた。

朴槿恵前大統領の自宅の塀に「登らないでください」という警告文が貼られている=キム・ギュヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 朴前大統領の政治的故郷である大邱達城郡に設けられた「予備自宅」が、朴前大統領が入居する前からすでに「保守の聖地」となっている。

 村の入り口に掲げられていた歓迎の垂れ幕は全て撤去されたが、自宅の入り口には「大統領様、敬愛しています」、「故郷にお帰りになったことを心から歓迎いたします」などと書かれた花輪が並んでいた。花輪に記載された送り主も「大邱市民」や「浦項(ポハン)市民」、「清州(チョンジュ)市民」など様々だった。 表門の前には「敬愛しています」と書かれた小さな植木鉢も置かれていた。

 朴前大統領の自宅を訪れた市民たちは、近くの少しでも高いところを探し、つま先立ちで塀の中を覗くために歩き回っていた。塀には「登らないでください」という警告文が張られていた。当初、塀の横にガードレールが設置されていたが、ガードレールに乗って私邸の中を覗こうとする訪問客が多く、達城郡が安全を理由にガードレールをすべて撤去した。

 達城郡と達城警察署の方は、平日は1日約1000人、週末は1日約2000人がここを訪れていると説明した。警察は秩序維持と交通管理のために警察官6人を配置した。達城郡も19日、交通混雑や違法駐車を防ぐため、朴前大統領の自宅から歩いて10分の距離に最大120台まで駐車できる臨時駐車場を設けた。

朴槿恵前大統領の自宅を訪れた支持者たちが家を背景に記念写真を撮っている=キム・ギュヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 朴前大統領の自宅の中には工事資材を積んだトラックが頻繁に出入りしていた。敷地は1676.2平方メートル(約507坪)で、建築延べ面積は地下1階、地上2階に712.61平方メートル(約215坪)だ。 住居用建物にはエレベーターが設置されており、庭には付属建物3つと東屋(あずまや)もある。

 静かだった村にいきなり人が殺到し、不便を感じる住民もいた。双渓里住民のPさん(70)は「朴前大統領が本当にこの村に来るというのは嬉しいが、毎日人が集まってきて落ち着かないし、少し不便だ」と話した。

 朴前大統領は、国政壟断や国家情報院特殊活動費上納など(特定犯罪加重処罰法の賄賂など)の容疑で、昨年1月、最高裁で懲役20年と罰金180億ウォン(約17億3800万円)、追徴金35億ウォン(約3億3800万円)が確定した。2018年11月にも旧セヌリ党(現国民の力)の公認過程に不法介入した容疑で懲役2年が確定し、計22年間服役しなければならなかった。しかし昨年末に特別赦免・復権され、4年9カ月ぶりに自由の身となった。 朴前大統領は追徴金35億ウォンを納付しており、未納の罰金150億ウォン余りは赦免・復権と共に免除された。

 朴前大統領は時価標準額(公示価格)13億7200万ウォン(約1億3200万円)の同住宅を25億ウォン(約2億4100万円)で購入し、今月17日に所有権移転登記を終えたが、入居時期はまだ決まっていない。肩の疾患や椎間板ヘルニアなどの持病で、現在、サムスンソウル病院に入院しているからだ。19日にここを訪れた「ウリ共和党」のチョ・ウォンジン大統領選候補は「(朴前大統領の)回復が遅く、大統領選挙が終わった後に退院する可能性が高い」と述べた。

キム・ギュヒョン記者(お問い合わせ (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1032249.html韓国語原文入力:2022-02-23 14:55
訳H.J

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