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韓国野党のユン候補の妻キム・ゴンヒ氏、「7時間通話記録」公開で波紋

登録:2022-01-17 09:05 修正:2022-01-19 10:19
ユン・ソクヨル大統領候補の配偶者のキム・ゴンヒ氏=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 野党「国民の力」のユン・ソクヨル大統領候補の配偶者であるキム・ゴンヒ氏が、ユン候補側の人事や選対委の戦略などに積極的に介入していることを示唆する発言をしていたことが、通話内容で確認された。政権に就くことを仮定した状態で、(ユン候補に)批判的なマスコミに対する報復発言もはばからなかった。キム氏はユーチューブチャンネル「ソウルの声」のL記者と昨年12月までの半年間に52回にわたって通話した。今月14日、裁判所はこの通話内容をもとにした報道は部分的に可能だという判決を下している。

 本紙が16日に入手した、いわゆる「7時間通話」の録音記録によると、キム・ゴンヒ氏は国民の力を「素人」と批判し、L記者に直接「(国民の力の)選対委に連れてきたい」「(選対委で)私が指示することをすればいい」などの発言を、昨年7月から9月にかけて繰り返していたことが分かった。キム氏は記者に「選対委はめちゃくちゃ。だから再整備をしなければ」「選対委の人たちはまだ素人で礼儀もない」(2021年7月21日)と話し、初期には「選対委の整理」や「選対委の組織化」を引き受けてくれるよう記者に要請した。「(選対委を)動かす人たちがいるでしょ、例えば私の兄さんとか何人か。ここで指示すれば選対委を組織するから。(彼らを相手に)システム化、組織化のような講義をしてほしい」というのがキム氏の具体的な提案でもあった。やがて「昔の国家情報院みたいに、密かに調べてくるようなこと」で「情報業」を引き受けてほしいとか、さらに具体的に「選挙戦略本部長としてきてほしい」といった提案(2021年9月19日通話)まで話すに至る。キム氏は20回にわたってこうした仕事を提案し、「うまくいけば1億ウォンくらい渡すこともできる」と述べた。実際、L記者はキム氏が運営するコバナコンテンツで30分特別講演を行い、105万ウォン(約10万円)を受け取ったと、文化放送(MBC)の時事番組「探査企画ストレート」は報道した。

 キム・ゴンヒ氏の話は、正確には重さを推し量るのが難しい。ただ、昨年9月は実際にユン・ソクヨル候補がホン・ジュンピョ候補と二強構図の党内予備選挙を行う中で、選対委の中心だったチャン・ジェウォン議員が息子の無免許飲酒運転および警察暴行事件で辞任し、20日にクォン・ソンドン議員を総合支援本部長に新たに任命するなど、選対委内の主要な人選の変化が起きていた時期だった。政策調整本部長、全国市道政策委員長、首都圏選挙対策本部長なども選ばれた。キム・ゴンヒ氏が選対委で公式に果たした役割は、当時はもとより現在もない。ユン・ソクヨル候補の配偶者として、多角的な面で人事やスケジュール、戦略などに影響を及ぼしたことを推測するのは難しくない。キム・ゴンヒ氏の通話内容は、キム氏の兄も事実上“陰の実力者”としての役割を果たした可能性を示唆している。

 このように自分の位置を積極的に示すのには、国民の力に対する不信が大きく作用したようだ。これは「(国民の力を)やむを得ず選んだ」と発言したりもしたユン・ソクヨル候補の認識とも通ずるもので、「国民の力は良い党でもないし、素人すぎる」とし「ばかみたいに、(検察)総長という商品は良いのにあまりにもついてこない」と叱責している。「1位であれ何であれ、早く選対委をリニューアルしよう。今その話をしている」とし「素人程度ではなく選対委がすべてを台無しにしている形だ」(いずれも7月21日)とも話している。

 大統領選党内予備選候補の相手だったホン・ジュンピョ議員とユ・スンミン前議員に対して、否定的な見方をあらわにした。ユン・ソクヨル氏の検察告発教唆疑惑が提起された直後の昨年9月3日、キム氏は「(告発教唆を)うちの夫はしたことがないのに、ユ・スンミン側とホン・ジュンピョ側が政治工作をしている」と述べた。

 キム・ゴンヒ氏が(ユン候補が)政権に就くと仮定してあらわにした認識には、民主主義体制に逆行するものが少なくない。ユン候補とキム氏を批判してきたオンラインメディアなどに対するマスコミ観が代表的であり、事実上「脅し」とも解釈できる部分が確認される。この通話内容について、裁判所は「マスコミなどに不満を表示した発言」と区分し、報道しないよう認容している。その他にも「甘くないですよ。私たちを守る勢力ができたから。ともかくいま支持率は1位じゃないですか、1位。下手につつくと大変なことになりますよ」(7月21日)と警告したりもした。

 キム氏はユン候補が大統領選に出馬した理由について「引きずられて出た」と強調した。2021年10月13日の通話でキム氏は「私たちは後悔する暇もなく引きずり出された」とし「総長の時から支持率が30%も出たから、出ないわけにはいかなかった」と話している。ただし、キム氏は「大統領選は時代精神で行くもの」とし「マスコミ一つが不正を暴き出したからといって、例えばチェ○○(キム氏の母親)の不正を暴いたからといってうまくいくわけではない」とし、大統領選挙が支持率だけで行けるものではないという認識も見せている。

 国民の力はこの日、本紙に対して「(キム氏は)ユン候補の政治行動に関与していないだけでなく、選対委の仕事にも関与しなかった」と明らかにした。また「(L記者に対し)選対委のポストを考えてあげるという話は、L記者が給料があまりにも少なくて苦しいと訴えていたため、選挙陣営にも撮影スタッフが必要だから、ポストがあれば調べてあげるという趣旨で言ったもの」と付け加えた。「ストレート」の報道について、国民の力のイ・ヤンス報道担当は「政治的中立性を損なうもので非常に不適切だった」とし「反論権を保障するとしてショートメールと電話をかけて通話を誘導したこと、また放送内容を知らせなかったことなどからみて、実質的に反論権が保障されたとは言えない」と述べた。一方、本紙はキム氏の反論を得るために電話などを試みたが、連絡がつかなかった。

 〔キム・ゴンヒ氏の「7時間通話内容」報道の価値について、今月14日に裁判所は「公的人物に該当し、社会的問題に対する見解ないし政治的見解は公的な関心事案に該当する」と判断(キム氏がMBCを相手取って起こした放送禁止仮処分申立ての一部のみを認容)しました。そのため、本紙は当録音記録を入手しましたが、裁判所の判断を一次報道の基準として制限的に伝え、私的な対話なども排除し、有権者の知る権利に該当すると判断できる発言に集中しました。〕

キム・ワン、チャン・ナレ、チャン・ピルス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1027538.html韓国語原文入力:2022-01-17 02:33
訳C.M

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