国民の力のユン・ソクヨル大統領候補の選挙キャンペーンが逆走と退行を繰り返している。イ・ジュンソク党代表との軋轢を劇的に解消した翌日、フェイスブックに「女性家族部廃止」という物議を醸す言葉を載せたのに続き、翌日には大型スーパーで食料品を買う姿(にぼし(ミョルチ)と豆(コン)を買い、滅共(韓国語でミョルゴン)を連想させる)を見せることで、「滅共チャレンジ」に火をつけた。いくら急落した20~30代の支持率を回復することが急がれているとはいえ、状況打開のための言動が無責任で拙劣極まりない。
ユン候補が自分のフェイスブックに「女性家族部廃止」という7文字を書き込んだのは7日午後だった。ユン候補は翌日、記者団に「女性家族部の廃止」が自分の大統領選挙公約であることを明らかにした。女性家族部を「男女平等家族部」に改編するという党内予備選挙での公約を、何の説明もなく女性家族部の廃止に変えたのだ。ユン候補は公約変更の理由を尋ねる記者団に「現在の立場は女性家族部の廃止の方針であり、これからもう少し考える」とし、「何でも国家と社会のために進めることだと受け止めてもらいたい」と答えた。説明する論理と根拠の乏しさを露呈したわけだ。
ユン候補が女性家族部の廃止へと立場を覆した背景は、あえて説明しなくても分かる。下落した若者の支持率を引き上げるため、オンラインの「男超(男性中心)コミュニティ」などで要求する女性家族部廃止論を急いで公約化したのだ。ユン候補や国民の力としては、選挙に出馬した政治家が得票のために有権者集団の要求を取り入れて政策公約を掲げて何が悪いと反問するかもしれない。しかし、若者たちが経験する困難と苦しみは、スタートラインの格差を縮めるための積極的な社会政策で解決すべき問題であり、特定集団に対する差別意識と嫌悪感情に便乗するやり方では困る。一体、女性家族部の廃止で若者たちの立場をどれほど、どうやって改善できるというのか。事態の本質と無関係な腹いせのための公約は、社会に破壊的分裂と対立を助長するだけという事実を肝に銘じなければならない。
大型スーパーでにぼし(ミョルチ)と豆(コン)を買う姿を公開して「滅共」をイシュー化し、これを「文在寅(ムン・ジェイン)政権審判」と結びつけるキャンペーン方式も情けないのは同じだ。伝統的な支持層である強硬保守の再結集が切実な状況だというが、北朝鮮と周辺国に対する憎悪を煽り、政権勢力に色分け論で攻勢をかける時代錯誤なキャンペーンで、何を得られるか疑問だ。それがウイットに富んだキャンペーンだと勘違いしているのではないことを願う。文化先進国の大韓民国の国民として恥ずかしいことだ。