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[ルポ]韓国初のロケット「ヌリ号」、来年の新たな打ち上げを控え組み立て中(2)

登録:2021-12-21 01:54 修正:2021-12-21 08:03
75トン推力の「ヌリ号」のエンジン。組み立てが完了し、現在、ハンファ昌原事業所で待機しており、来年12月に予定されたヌリ号の3回目の打ち上げに使われる=ハンファ・エアロスペース提供//ハンギョレ新聞社

(1)から続く

 エンジン組み立て場は、騒がしく賑やかなほかの作業場とはずいぶん違っていた。同日午後、プラットフォームの上の2階で3人の作業員が何か仕事に夢中になっているだけで、全般的に静かな雰囲気だった。キム次長は「多くの企業から調達してきた部品を結合する作業を進めてきたが、これからが最終段階」と述べた。

 ロケットのエンジンはターボポンプやボルト、ナットなど数多くの大小の構成品(部品と部分品)で構成されている。エンジン1台に入る構成品の数は1200個余りに達するという。溶接と接着(ブレイジング)方式で結合された推進剤噴射機(インジェクター)もその一部だ。組み立て作業が盛んに行われている時は、生産人員11人、エンジニア11人など、計22人ほどが全員動員され、組み立て業務を処理することになると、キム次長は説明した。

 エンジンの組み立て工程は大きく8つに分けられる。細部の組み立てと検査過程を含めると、工程は458種類に達する。エンジンを構成する主な構成品としては、燃料を燃やして推力を発生させる燃焼器、燃焼器に高圧の推進剤(燃料の「ケロシン」と液体酸素の組み合わせ)を供給するターボポンプをまず挙げることができる。ターボポンプから燃焼器に推進剤を届ける高圧配管やターボポンプの駆動ガスを作り出すガス発生器、流量制御バルブ、開閉バルブも主な構成品だ。ハンファ側はエンジン全体の組み立てだけでなく、ターボポンプ、バルブ類の製作も同時に担当している。

 エンジンの組み立てにかかる時間は、75トン級基準で3カ月ほどだという。組み立て完了後、組み立て健全性や機密性、作動試験などの過程を経て品質保証を受けた後、特殊製作された専用コンテナに入れられ、高興発射体組み立て場に移される。高興でエンジンと発射体の後方胴体を結合する作業は「システム総組み立て」と呼ばれ、これは航空宇宙研究院の主導で行われる。ハンファ昌原事業所で行われる作業は、その前段階の「エンジン組み立て」だ。

 キム・ジョンハン次長はプラットフォーム2階で作業中の作業者を指し、「組み立てられたエンジンの燃焼試験(高興羅老宇宙センターで進行)を終えた後、バルブや配管連結部位に欠陥がないか点検している」と述べた。 ヘリウムガスを注入した後、漏れる隙間がないか調べる点検過程(ヘリウムリークディテール)であり、例えるなら都市ガス検針員がガス管の連結部位を調べるのと同じだという。

 ハンファ側は「組み立て過程は12月中に事実上終了し、微細な再整備を経て、来年2月ごろ航空宇宙研究院に納品され、(高興羅老宇宙センターで)ロケットの胴体と結合する過程に入る予定だ」と明らかにした。高興に移動する時は振動防止および恒温・恒湿装置を備えた特殊装備が使用される。これでようやく約1年にわたる組み立て過程が完了することになる。

 高興に移されたエンジンは、航空宇宙研究院の主導で、ロケットの後方胴体とつなげられた後も機密や作動試験による品質確認の過程を再び経る。ヌリ号に搭載されたエンジンの駆動はライターの役割を果たす「パイロ始動機」の作動から始まる。これによりターボポンプが動き、ターボポンプは推進剤の圧力を高めて燃焼器に供給し、燃焼器では推進剤を燃やして高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは収縮と拡散ノズルを通過して外部に放出され、この時生じる反作用で発射体は推進力を得ることになる。

 ロケット発射後、1、2、3段に配置されたエンジン6基は、次々と本体から分離される。衛星が本軌道に進入すると、エンジンはすべて消えてなくなるという意味だ。エンジンを構成していた数多くの構成品の一部は宇宙ゴミ(スペースデブリ)となり、また一部は残骸の状態で海に落ちる。このように完全に消滅することで、目的を達成する。数多くの構成品が1年にわたって一つに集まって心臓で生成される最終目的が消滅だとは。1000種類以上の部分品を集めてエンジンに作りあげるエンジニアとしては、ロケット発射の大成功という知らせを聞いても、やりがいや自負心と共に、大きな虚しさを同時に感じるかもしれないと思った。

 ハンファ側が航空宇宙研究院と韓国型ロケットエンジンの総組み立て契約を結んだのは2012年だった。その後、2014年7月に組み立て場を完工し、今に至った。7~8年間運営する間に航空宇宙研究院に納品されたエンジンは、75トン級34基、7トン級12基の計46基だという。これには、来年打ち上げ予定のロケットに搭載されるエンジンも含まれる。

 ハンファグループはロケット技術を「宇宙事業進入のための必須」項目とし、ヌリ号を「多様な未来の新事業を積極的に模索していける出発点」と見なしている。極限技術の結晶であるヌリ号が「機械や装置、電子など様々な分野で技術を一段階レベルアップさせるきっかけを提供している」という説明だ。超軽量で極低温の部品を開発しながら確保した製造技術を「水平展開」する計画を持つようになったのも、これに基づいていると付け加えた。

 ハンファ側は、宇宙産業を太陽光と共に未来成長の主軸に据えている。ハンファ・エアロスペースが今年1月、国内人工衛星専門会社「セトレックアイ」の株30%を買収し、衛星事業への進出を知らせたのは、これとつながった動きだった。 続いて3月に入ってグループの宇宙事業を総括する「スペースハブ」という協議体を発足させたのも同じ脈絡だ。ハンファ・エアロスペースを中心とするスペースハブは、ロケットや衛星など製作分野とサービス分野に分けられ、研究と投資に集中する計画だと、ハンファ側は明らかにした。スペースハブは韓国科学技術院(KAIST)と共同で宇宙研究センターを設立する案も推進している。

昌原/キム・ヨンベ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1024019.html韓国語原文入力:2021-12-2016:12
訳H.J

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