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[寄稿]太平洋戦争における米国と日本の決定的な違い

登録:2021-12-08 02:02 修正:2021-12-08 06:34

 最近、第二次世界大戦の太平洋戦争に対する共同作業の機会を得た。韓国現代史と韓米関係において最も大きなターニングポイントとなった朝鮮戦争とベトナム戦争に関心を持って研究しているうちに、それぞれ異なる分野の戦争史の専門家たちと共に研究を進めることになったのだ。森に注目するマクロな国際政治史を研究する歴史学者として、木を見る機会となっている。

 太平洋戦争を分析するうちに、当時の米国と日本の違いについて考えるようになった。戦争は日本の軍国主義者たちが勢いよく始めたが、時間が経つにつれて勝利の軸は米国の方に傾いた。何がこのような違いを生み出したのだろうか。

 何よりも大きな違いは、技術や科学、そして経済力から生じた。欧州の先進科学技術を受け入れ、資本と人材で早く大量生産できる米国の能力に、日本は追いつけなかった。戦前、日本は英国やドイツとの交流を通じて革新を成し遂げたが、戦争期間が長くなるにつれ、次第に孤立していった。

 慣性に浸って革新を怠った問題もあった。1894年の日清戦争後、1941年の真珠湾と東南アジア戦線に至るまで、日本は連戦連勝を収めた。これらの戦争は正義の戦争でなかったが、日本の軍国主義者たちは勝利に酔っていた。都合よく脚色された戦況だけが報道され、自らの力で米国の攻勢を防げるという思い込みが生まれた。ウィッシュフル・シンキング(希望的観測)が革新を遠ざけた。

 出征した兵士たちをどう見ていたのかにも大きな違いがあった。軍国主義者たちにとって軍人は天皇のための一つの消耗品に過ぎなかった。戦略の最も大きな基準は、天皇を喜ばせることができるかどうかであり、戦闘で負けて生きて帰ってきたり、捕虜になるのは屈辱と見なされた。天皇から賜わった補給品を捨てることさえ、不敬とされた。

 米国も戦闘の過程であまりにも多くの兵士を失った。彼らの犠牲は直ちに議会で大きな批判の的になった。タラワ島上陸の過程で行った無理な作戦と大きな犠牲について、米下院で聴聞会が開催された。兵士一人ひとりが米国国民であり、彼らの犠牲を最小限に抑えるための議論が続いた。

 このような要因とともに、何よりも大きな違いは米国と日本のダメージコントロール能力だった。これは被害を最小限に抑えることで、回復への土台を作ることである。太平洋戦争当時、米国と日本のダメージコントロールの差は、ミッドウェー海戦もフィリピン海戦も勝敗を分ける重要な分かれ目となった。日本の空軍飛行士たちは自らの攻撃により米軍艦船が回復不能に陥ったと報告した。これは相手の能力を見誤るきっかけとなった。米国はダメージコントロールを通じて、相手が沈没したと予想した艦隊を次の戦闘にまた動員することができた。一方、日本が3年間力を入れて作った最新型装甲艦「大鳳」は、フィリピン海戦の初出撃で米軍の魚雷1本に沈んだ。

 世界は今、新型コロナパンデミックとの戦争を繰り広げている。新自由主義秩序の副作用によってすでに傷ついていた状況で、新型コロナはより深い内傷を残している。幸い、韓国社会はこの2年間、優れたダメージコントロール能力を見せてくれた。防疫や経済回復において世界の注目を集めている。一部の閉鎖的かつ権威主義的統制を強化した国々とは対比を成す高い透明性も模範とされている。

 問題は社会的葛藤と統合の問題だ。市民社会の努力によって辛うじて民主化を成し遂げたにもかかわらず、1990年代以降始まった社会的葛藤は、いわゆる「南南(韓国国内と言う意味)葛藤」と呼ばれ、30年間続いている。南北問題はもとより、政派のレベルではなく、国家のレベルで取り上げられるべきすべての問題が、南南葛藤の中に埋もれている。 あらゆる問題が政治化したことで、社会的ダメージが深刻さを増している。

 2022年の大統領選挙を控え、様々な公約が登場している。特に経済問題に関するものが多い。これまでダメージコントロールがうまく行われ、有意義な回復力を示したとしても、今後の連続性が重要なのは誰も否定できないだろう。 しかし、それに劣らず重要なのは、韓国社会が受けたダメージを最小限に抑え、社会統合による回復力を示すことだ。しかし、どの候補からも社会統合のメッセージは見られない。ただこれまでの南南葛藤を政派的に利用しようとする立場だけが目立っている。今こそ、韓国に必要な指導者が備えなければならない徳目が何なのか、じっくり考えなければならない。

//ハンギョレ新聞社
パク・テギュンㅣソウル大学国際大学院長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1022332.html韓国語原文入力:2021-12-07 19:04
訳H.J

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