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日本「中国に対する不安」で軍備増強…東アジア情勢をさらに不安にする可能性

登録:2021-10-14 10:00 修正:2021-10-14 11:59
昨年10月、中国を牽制する4カ国安全保障会議であるクアッドに参加している米国、インド、日本、オーストラリアの海軍がインド洋のベンガル湾でマラバール合同演習を行っている/AFP・聯合ニュース

 日本の自民党が防衛費を国内総生産(GDP)の2%水準に引き上げ、現行の「防衛政策」を抜本的に見直すという公約を掲げたのは、日本が米国と力を合わせ、東シナ海などで強まっている中国の軍事的脅威に対抗するという決意を誇示したものとみられる。これに先立ち、菅義偉前首相は今年4月、日米首脳会談を終えた後に公開した共同文書で、52年ぶりに台湾海峡の平和と安定に言及し、「日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した」と宣言した。この決意を実行する具体的な措置を一つずつ取るということだ。

 12日に公開された自民党の政策公約集「自民党政策BANK」によると、日本が台湾海峡を含む東シナ海で展開されている中国の軍事的動向に非常に深刻な「安保不安」を感じていることが確認できる。自民党は「中国の急激な軍拡や、尖閣列島・台湾周辺等における軍事活動の急速な活発化・力を背景とした一方的な現状変更の試み、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、最先端技術を駆使した“戦い方”の変化など、安全保障環境が激変している」とし、これらに対応するために日本の安保態勢を「抜本的に見直す」と明らかにした。

 日本がこのような決断を下したのは、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官が3月に米上院軍事委員会聴聞会で「中国が今後6年以内」に台湾に侵攻する可能性があるとし、米中新冷戦の最前線である東シナ海の厳しい安全保障の現実に言及したからだ。すると日本の防衛専門家らが先を争って「台湾有事が発生した場合、日本は第三者ではいられない」と主張し、政府の迅速な対応を求めた。その後、自民党の政務調査会は5月、「激変する安全保障環境に対応した防衛力の抜本的強化のための提言」と題した文書を通じて、日本は「防衛関係費を抜本的に増額すべき」と述べ、自民党外交部会の台湾政策検討プロジェクトチームは台湾事態に備えるための「法的整備を急いで終えるよう」要求した。

 自民党のこの日の公約は、これらの要求に忠実に沿ったものといえる。まず、防衛費の大規模な拡充だ。日本の「防衛白書」(2021年版)によると、1995年から今年までの間に、中国の国防費は14倍、韓国は3.9倍、米国は2.7倍に増えているが、日本の増加率は1.8倍にとどまっている。国内総生産(GDP)に対する防衛費の比率を比較しても、日本は0.95%で米国(3.29%)、中国(1.25%)、韓国(2.61%)より低い。自民党の公約は、日本の防衛費を北大西洋条約機構(NATO)加盟国の目標水準である2%に合わせることを意味する。

 次に、「防衛政策」の大幅な見直しだ。日本の外交・安保政策の大きな枠組みである国家安全保障戦略、その下位概念である防衛計画大綱、これに基づいて自衛隊が備えるべき武器体系を定めた「中期防衛力整備計画」などは、東シナ海における中国の軍事的動向が今のように露骨でなかった2013年12月に策定されたものだ。

 日本が平和憲法の制約を事実上逸脱する軍備強化に乗り出したことで、韓国の計算も複雑になった。日本の軍備強化は中国と北朝鮮を刺激し、すでに始まっている域内の軍拡競争をさらに深刻にしかねない。もう一つの問題は「敵基地攻撃能力」だ。自民党は公約で「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑制力を向上させるための新たな取組みを推める」と言及した。これは、北朝鮮などがミサイル攻撃を加える兆候を見せた場合、日本が発射地点を攻撃する能力を備えるという意味だ。今後、日本が北朝鮮の挑発に過剰な対応をすれば、韓国の意思とは関係なく朝鮮半島で残酷な戦争が起こる可能性もある。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1015082.html韓国語原文入力:2021-10-14 07:40
訳C.M

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