米国のグーグルが韓国で過去最高水準の制裁を受ける。サムスン電子などのスマートフォンメーカーに自社の基本ソフト(OS)の搭載を強要した疑いが認められた。今後、サムスンが国内外で販売する全てのスマート機器は、グーグルの「横暴」の影響を受けなくなる。このように広範囲な是正措置は世界で今回が初めて。
韓国の公正取引委員会は14日、機器メーカーを相手にアンドロイドの「反フラグメンテーション協定(AFA:Anti-Fragmentation Agreement)」を強制した疑い(公正取引法上市場支配的地位濫用など)で、グーグルに是正命令と課徴金2074億ウォン(約195億円)を科したと発表した。2018年に調査を始めてから3年目にして出された制裁だ。
今回の措置で主に問題になったのは、グーグルがスマートフォンメーカーと結んだ反フラグメンテーション協定だ。同協定を交わしたメーカーは、発売する全ての機器に、アンドロイドフォークを搭載することができない。「アンドロイドフォーク」とは、オープンソースの形で公開されたアンドロイドのソースコードを変形して作った別のOSを意味する。サムスン電子がギャラクシーギア1に適用したが、グーグルの圧力で諦めた独自開発のOSがこれに当たる。メーカーがアンドロイド以外の他のOSを使うためには、最初から独自のソースコードを開発しなければならない。
「免除機器」条項も実際には機能していなかったというのが公取委の判断だ。グーグルで「免除機器」と認めればアンドロイドフォークを搭載できるが、この際、グーグルはいくつかの制限を設けた。特に、第3者の会社が開発したアプリを当該機器で作動させてはならないという条件をつけた。第3者のアプリが約70個搭載される予定だったサムスン電子のギャラクシーギア1が白紙化されたのもそのためだ。
メーカーにとって反フラグメンテーション協定の締結に対する選択権は実質的にはなかった。2011年からグーグルは、反フラグメンテーション協定を結んだメーカーに限り、グーグルプレイストアのライセンス契約やアンドロイド事前アクセス権契約を交わしてきた。事前アクセス権とは、グーグルが最新バージョンのアンドロイドをオープンソースで公開する6カ月前に提供することを指す。ハイエンド(高級仕様)の機器を作らなければならないメーカーは、グーグルに人質を取られているようなものだった。グーグルは今後、反フラグメンテーション協定をこのような契約と連携して強制してはならず、従来の反フラグメンテーション協定も見直して公取委に報告しなければならない。
公取委の今回の是正措置は、世界の競争当局の中で最も強力な水準と言える。代表的なアンドロイド機器メーカーのサムスン電子の国内外の販売量全てを包括するからだ。サムスン本社が国内にあるため、海外販売量に対する管轄権も公取委にあると判断したのだ。スマートフォンをはじめ、スマートウォッチのようにOSが搭載される他の全ての機器も是正措置の対象に含まれた。これに先立ち、欧州委員会は、欧州内で販売されるスマートフォンに限って是正命令を下した。
チョ・ソンウク公取委員長は「(今回の事件は)次世代プラットフォーム競争が始まっているその他のスマート機器用OS開発分野で革新を阻害した事件」だとし、「(今後この分野の)OS開発競争が活性化することを期待する」と述べた。