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反撃に出たユン前検察総長「告発教唆疑惑は国情院長の政治工作」

登録:2021-09-13 06:31 修正:2021-09-13 08:03
「国民の力」のユン・ソクヨル大統領選予備選候補が今月12日、西大門区新村のUCUラウンジで開かれた青年シンクタンクのトークコンサート「青年、希望をハッキングせよ」に出席し、関係者と会話を交わしている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 告発教唆疑惑で窮地に立たされているユン・ソクヨル前検察総長が、情報提供者のチョ・ソンウン元未来統合党選挙対策委員会副委員長とパク・チウォン国家情報院長が8月に会ったことを根拠に「疑惑は国情院の政治工作」だと主張し、反撃に出た。

 ユン前総長は12日、ソウル西大門区(ソデムング)のある共有オフィスで青年トークコンサートに出席した後、記者団に「国情院長という職分からして、知人だとしても(会合したのは)理解できない」とし、「私からすると、ちょっと普通ではない」と批判した。彼は「政治工作と判断するのは、全く身に覚えがなく、蓋然性もないため」とし、「政治的に誰が損をし、誰が得をするのかをよく考えなければならない」と述べた。

 ユン前総長は、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)にも強い不満を示した。10日にキム・ウン議員の事務所を家宅捜索した際、補佐官のパソコンで「オス」を検索したことについて、公捜処は同日、「キム・オス検察総長ではなく、ドイツモーターズのクォン・オス会長と関連したものだった」と釈明したことについて、「まるで私の妻がドイツモーターズの株価操作に関与したかのように発表した。基本がなっていない」と声を荒げた。ユン前総長は同日「政治工作と国家情報院の大統領選介入疑惑」に共同対応を図るとして、チェ・ジェヒョン前監査院長と面会した。

 ユン前総長陣営も同日、「政治工作真相究明特別委員会」の第1回会議を開き、対策を協議したうえで、国情院政治工作疑惑で対抗した。総括状況室長のチャン・ジェウォン議員は記者会見を開き、「明日、パク院長を国情院法と公職選挙法違反の疑いで告発する。今回の事件は、パク院長と彼の『政治的養女』であるチョ氏が大韓民国の大統領選挙で有力な野党候補を排除するために企てた政治工作事件に他ならない」と主張した。

 ユン前総長陣営は、野党関係者に対する告発状の発信者と見られるソン・ジュンソン検事とのつながりを遮断することにも力を入れている。「ソン検事が野党側に告発状を渡したという資料でもあるのか。それを明らかにしてから、(疑惑を)持ち上げるべきではないか」として、疑惑自体を否定していたユン前総長は9日、「自分(ソン検事)の判断で誰かと文書をやりとりし、動くこともあり得る。すべて検察総長の決裁を受けて行うわけではない」とし、「ソン・ジュンソン独自行動」へと立場を変えた。ユン前総長陣営のイ・サンイル広報室長も11日夜、「韓国放送」(KBS)の『深夜討論』に出演し、「昨年1月の人事で、ユン前総長は前任者のキム・ユチョル検事の留任を希望したが、その希望を受け入れず、ソン・ジュンソン検事を(捜査情報政策官に)任命したのは、チュ・ミエ当時法務部長官だった」と主張した

 しかしソン検事は、昨年8月の職制再編で次長級の捜査情報政策官が部長級担当官に降格された後も留任となったことで、検察内外では「ソン検事に対するユン総長の信任が厚い」と話題になったほどの関係だ。検察のある幹部は本紙に、「昨年1月の人事で捜査政策官を務めたソン検事は、ユン前総長が望んだ人ではなかった」としながらも、「しかしキム・ウン議員がソン検事に『大変かもしれないが、ユン前総長をしっかり補佐するように』とメールまで送ったことから、ユン前総長とソン検事の関係を推測することができる。少なくともソン検事がユン総長を補佐しようと努力したとみられる」と述べた。また別の検察関係者は「当時、ユン総長と最高検察庁の部長たちはあまり会話を交わすこともなく、ソン・ジュンソン政策官だけが話し相手になるような状況だった」とし、「現在、検察では『ユン前総長がソン検事をトカゲのしっぽのように切り離そうとしているようだ』とショックを受けている人が多い」と伝えた。

 国民の力もパク・チウォン国情院長を情報提供の黒幕と主張し、反撃に出たユン前総長陣営を後押ししている。同党のキム・ギヒョン院内代表は同日、国会で緊急記者懇談会を開き、「二人の関係は一般的な知人関係ではなく、非常に親密で特殊な関係」だとし、チョ氏が告発教唆疑惑の報道前にパク氏と相談した可能性に触れた。また先月11日、パク氏とチョ氏がソウル市内のホテルのレストランで会った際、「誰が同席したのか、経費で賄ったのか、それとも個人として支払ったのかなどについて説明すべき」とし、「政治工作、選挙工作の亡霊を思わせる大型ゲートに広がる可能性が濃厚だ」と主張した。

 与党では、ユン前総長が告発教唆疑惑に関与したかどうかが今回の事件の本質という点を繰り返し強調し、野党の攻勢を食い止めようとしている。共に民主党のイ・ソヨン報道担当は書面論評で「政治検察の告発教唆過程に全く関与したことのない国情院長まで巻き込んで、荒唐無稽な主張で疑惑から国民の注意をそらそうとしている」とし、「沈黙や責任転嫁、カモフラージュではこれ以上この事件を隠しきれない。堂々と誠実に捜査を受けるべきだ」と求めた。

チャン・ナレ、オク・ギウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1011424.html韓国語原文入力:2021-09-12 22:20
訳H.J

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