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「海のテスラ」自動運航コンテナ船、世界で初めての出航が間近に

登録:2021-09-11 08:45 修正:2021-09-11 12:55

 世界初の無人自動運航コンテナ船がノルウェーで出港準備を終えた。米CNNによると、今年中にノルウェーの2つの港町の間を運航する予定だ。

 ノルウェーの肥料メーカーのヤラ・インターナショナルと軍需用誘導システム開発会社のコングスベルグ、船舶製造会社のバード(Vard)が共同開発したヤラ・ビルケラン(YARA Birkeland)号は、電気を動力として航海する無人自動コンテナ船だ。ビルケランは19世紀末~20世紀初めに活動したノルウェーの科学者であり、同社の創立者であるクリスティアン・ビルケラン(Kristian Birkeland)の名前から取った。

 2017年に開発を始め4年目にして初めて出航を迎えるこの貨物船は、長さ80メートル、幅15メートル、最大120個のコンテナ(20フィート基準)を載せて最高速度13ノット(24キロ)で運航できる。会社側は、初航海では乗組員が一人も乗り込まず、その代わり出港から寄港までの全ての過程を3つの陸上のデータ制御センターでモニタリングすると明らかにした。当初は2020年に出港する計画だったが、新型コロナウイルスの発生によって見送られていた。

 当初は陸上で電気自動車革命を主導しているテスラのように海上運送のゲームチェンジャーになるという抱負から「海のテスラ」(Tesla of the Seas)という愛称までつけて開発を急いでいたが、以後は段階別アプローチに切り替えた。

ヤラ・ビルケラン号のコンテナ船積想像図=ヤラ・インターナショナル提供//ハンギョレ新聞社

_______気候危機に対応する海上輸送の未来

 ヤラ・ビルケラン号の舞台は国内航路だが、気候危機に対応する海上運送の未来像の一つを示すという点で意味がある。自動運航コンテナ船が掲げるメリットは、何よりも炭素排出の削減やコスト削減だ。

 国際海事機関(IMO)によると、海上輸送は毎年約10億トンの二酸化炭素を排出する。全世界の温室効果ガス排出量に占める割合は2.5~3%に達する。自動運航電気貨物船は、その割合を大幅に減らす手段だ。

 トラック運送を代替することで、道路からの窒素酸化物、二酸化炭素などの汚染物質の排出を減らし、道路渋滞を解消してくれる効果も無視できない。ヤラ・インターナショナルはポルシュグルン工場で生産した肥料の輸出のためにラビック、ブレビック港まで1日100台以上のトラックを運行する。自動電気コンテナ船の運航が本格化すれば、人口が密集している都市を経て港まで行き来していたトラックの運行回数を、年間4万回減らせるものと会社側は期待している。

 ヤラは、同船舶運航初期には船からの荷物の積み下ろしに人が投入されるが、のちには船積、荷役作業も自動で遂行できる自動クレーンなどの装置を開発し、代替する計画だと話した。

 海は陸上と違って交通が複雑でなく、船の動く速度も相対的に遅く、自動運航を推進するには道路より環境が良いといえる。しかし自動運航船舶が活性化するためには、岩礁や波といった予想外の変数に備え、船舶間の衝突を防止できる技術や、これに関する運航規定の標準化など、今後解決しなければならない技術的、制度的な問題が依然として山積している。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/future/1011226.html韓国語原文入力:2021-09-10 10:05
訳C.M

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