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迫りくる気候変動… 世界で同時多発するわけは

登録:2021-07-19 06:27 修正:2021-07-19 06:48
ムーズ川の氾濫で大きな洪水被害が発生したベルギーのリエージュ州で、市民が今月15日(現地時間)ゴムボートに乗って避難している/聯合ニュース

 「1千年ぶりの大洪水」をもたらした西ヨーロッパの豪雨は、戦後西欧先進国を支えてきた堅固なシステムを巨大な泥水とともに一気にのみ込んだ。最悪を仮定して作られた各種災害・緊急事態の安全基準、これを基に設計された対応システムと施設は現実味を帯びてきた気候変動の前で「20世紀の古いシステム」に転落してしまった。欧州だけではない。今夏、北米やシベリア、北東アジアなどで記録的な猛暑と大雨、洪水、山火事が同時多発している。専門家らは「気候危機は先進国と後進国を問わず起きている。映画や遠い未来のことではなく、今ここでみんなの生存の問題になったということを自覚すべきだ」と警告する。

 今月14~15日に西ヨーロッパで発生した豪雨と洪水による死者は、18日(現地時間)に200人に迫っている。今でも増え続けている死者の大半は災害安全管理先進国のドイツで発生した。米国とカナダは前例のない猛暑と山火事に悩まされている。先月30日、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州のリットン地域は、気温が49.6度まで上がった。11日に米カリフォルニア州のデスバレー地域では非公式56.7度、公式54.4度を記録した。殺人的な猛暑の中、例年起こる米西部地域の山火事は少なくとも70カ所で広がっている。オレゴン州南東部では大型の山火事で灰の混じった煙の柱が10キロメートル上空まで立ち上った。

 世界各地で進んでいる極限の気象現象について、国内外の専門家らは温室効果ガスによる気候変動をその原因に挙げている。気象庁のイ・ヒョンス気候予測課長は「北米地域は高気圧の停滞による猛暑が、西ヨーロッパは低気圧の停滞による豪雨が続いた。大気停滞の原因は様々だが、長期間停滞が発生したり、過去には前例のなかった地域で停滞する場合、気候変動との関連性を考慮しなければならない」と述べた。イ・サンウク漢陽大学海洋融合科学科教授は「大気が停滞しても通常は1、2日で終わる。今回のように長くなるには、長く留まらせる外的要素が必要だ。これまで(南極、北極など)極地域が気候変動の直接的な被害を受けると知られていたが、長期的な観点からすると、(大都市が集中している)中緯度地域も地球温暖化による影響を受ける可能性がある」と述べた。欧州中期予報センターは英国のガーディアン紙の取材に対し、「気候変動により、すべての気象学的な極端現象がより極端になると予想する」と発表した。

 環境運動家たちは「気候変動はもう遠い未来のことではなく、現在の出来事として認識すべき」だという。ファン・インチョル気候危機非常行動委員長は「気候危機が目の前の災害として迫っているが、国と企業は依然として成長中心だ。これからは自然が投げかける警告を現実として受け止めるべきだ」と述べた。

 これに先立ち14日、欧州連合(EU)執行委員会は加盟国と域内外企業に強力な温室効果ガス削減義務を課す気候危機対応案を発表したが、欧州環境団体は目の前の危機を防ぐには不十分だとし、より強力な対策を求めている。

キム・ミンジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1004013.html韓国語原文入力:2021-07-18 18:41
訳H.J

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