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49.5度にのぼる「北米ヒートドーム」、朝鮮半島の空にも

登録:2021-07-02 03:01 修正:2021-07-02 07:57
陸上の米国五輪代表を決める予選が行われる予定だったオレゴン州ユージーンの競技場。屋外の温度計が華氏108度(摂氏42.2度)を示している。予選は猛暑で延期された/聯合ニュース

 平年気温の3倍の摂氏50度に迫り、数百人の命を奪った北米西部地域の太平洋沿岸の猛暑が衰えを見せていない。同じ北半球に位置する韓国でも1日、ソウルなどに猛暑注意報が発令された。気象専門家たちは、北米に猛暑を招いた「大気の停滞によるヒートドーム」現象が韓国でも生じる可能性を排除していない。大気の停滞によって大気が不安定となり、頻繁に夕立に見舞われているが、熱く湿った北太平洋高気圧が朝鮮半島上空で停滞すれば、北米のような猛暑となる可能性もあるというのだ。

 北米の猛暑と朝鮮半島の梅雨入りの遅れを招いた共通の要素は大気の停滞、一種のブロッキング現象だ。抑制、阻止を意味するブロッキングは、大気の流れが滞って一カ所に停滞していることを意味する。熱が閉じ込められる「ヒートドーム」現象も、熱い空気の塊がブロックされて起きたもの。日中に熱せられた大気が一つの地域に長期にわたって停滞し、熱が逃げ出せないことで起こる現象だ。気象庁のイ・ヒョンス気候予測課長は「ブロッキング現象はいつでも発生しうるが、今回の北米の猛暑の特異性は長期間続いているということ。特にいつ、どこに現れるのかは予測が難しい。気候変動とも関係があると考えている」と説明した。

 北米の猛暑、今年の朝鮮半島の梅雨入りの遅れ、昨年の史上最長の梅雨、2018年の朝鮮半島の猛暑は、いずれもがブロッキング現象の結果だという共通点がある。北米の猛暑が温かい高気圧の直接の影響を受けたものだとすれば、同じ期間に韓国は朝鮮半島の北東に位置するカムチャッカ半島(東シベリア)に高気圧が停滞したことで、不安定な天気が続いたのだ。地表の熱で加熱された下層の空気と上層にある北の高気圧の冷たい空気がぶつかったことで、6月中旬以降は夕立が多くなっている。昨年の長梅雨も東シベリアに高気圧が停滞したのが原因だ。2018年の猛暑は、チベット高気圧と北太平洋高気圧がそれぞれ勢力を伸ばして朝鮮半島で重なり、長期間停滞したために起こった。

 科学者たちは、このような大気の停滞は気候変動と関係があると考えている。北極の氷河が溶けるなど温暖化が深刻化したことで、北極の冷たい空気を閉じ込める役割を果たすジェット気流の力が弱まった。東西方向に大気を移動させるジェット気流が弱まると、南北の大気の流れが活発になり、予想できない地域にブロッキング現象が発生しているというのだ。ソウル大学地球環境科学部のホ・チャンフェ教授(大気科学専攻)は、「気候変動によって地球の平均気温が高まり、各緯度の温度差が縮まったことから、大気の停滞は深刻化せざるを得ない。川の水の流れが弱くなれば土が積もるのと同じ理屈だ。それだけ気候変動性が大きくなっている」と説明した。

1日午後、猛暑注意報が出された全羅南道潭陽郡の官防堤林で。市民たちが木陰で休息を取っている。気象庁は前日、潭陽郡に対する全国初の猛暑特報を予告した/聯合ニュース

 気象庁も、今年の梅雨の長さと猛暑がどれほどのものになるかを予測するのは難しいとの立場だ。イ・ヒョンス課長は「異常気象で梅雨入りが遅れた。今後は猛暑がやって来るのか、それとも昨年のように梅雨が長く続くのかは、予測が非常に難しい」と述べた。特に、朝鮮半島の北東に位置する東シベリアと北米に大気が停滞しているため、偏西風帯に位置する韓国にとっては大気の出口が塞がれているかたちとなっている。そのため、熱く湿った空気の塊である北太平洋高気圧が張り出してくれば、朝鮮半島に熱い大気が閉じ込められる恐れがある。あるいは、北太平洋高気圧の縁に位置する梅雨前線が、朝鮮半島の上に長期間とどまる可能性もある。

 世界的に見れば、大気の停滞による北半球の猛暑はもはや異例の現象ではない。2003年と2004年のヒートドーム現象による欧州地域の猛暑は、気候危機への対応の必要性を浮き彫りにした。特に、気候変動による気温上昇は熱帯地域より高緯度地域での反応が早くなるが、それは極地方の変化が猛暑、長梅雨、寒波などの様々な異常気候として現われるからだ。ホ・チャンフェ教授は「北米西部は、もともとはそれほど暑くない地域だ。冷房設備を持っていなかったり、入手しにくかったりする低所得層に猛暑の被害が集中するだろう」と述べた。

チェ・ウリ、キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1001788.html韓国語原文入力:2021-07-01 16:52
訳D.K

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