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家族は感染、接種済みの70代のみ陰性…広がる「高齢層防御壁」

登録:2021-05-19 01:20 修正:2021-05-19 09:15
満75歳以上の高齢者施設の入所者などを対象としてコロナワクチンの接種が始まった4月1日午前、ソウル銅雀区のコロナ予防接種センターで高齢者がファイザーのワクチンの接種を受けている/聯合ニュース

 今月10日、全羅南道順天市梅谷洞(スンチョンシ・メゴクトン)に住む7人家族のうちの6人が、新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた。この一家は3世代が同居しているが、74歳の老母と娘夫妻と2人の孫娘、1人の孫息子がコロナに感染したのだ。ただ一人陰性判定を受けたのは、76歳のCさんだった。Cさんだけが家族の中で唯一ワクチン接種を終えていたからだ。Cさんは75歳以上のワクチン接種対象者で、先月2日と23日にファイザーのワクチンの1、2次接種を終えていた。2回目の接種から家族の感染が確認された10日までには、抗体が十分に形成されるまでにかかる2週間を上回る間隔(17日)があった。順天市の防疫担当者は「コロナワクチンの接種効果は、単なる数ではなく、実際の事例から確認されている」と述べた。

 2月26日に韓国でワクチン接種が始まって2カ月半ほどが経過したことで、ワクチンのコロナ感染予防効果を示す事例が続々と登場している。コロナの高危険群である高齢層を中心として接種率が上昇したことで、地域社会において徐々に感染に対する防御壁が形成されつつある、との分析も出ている。

 京畿道城南市中院区(ソンナムシ・チュンウォング)のある療養病院でも似た事例があった。この療養病院では、今月8日から15日までに11人がコロナに集団感染した。感染が確認されたのは、すべてワクチンを接種していない人たちだった。一方、同じ療養病院のワクチン接種者からは感染者が出ていない。先月には忠清北道槐山(クェサン)のある教会で礼拝に参加した23人のうち22人が感染するという事例が発生しているが、感染を免れた1人はすでにワクチンを接種した状態だった。

 防疫当局は最近、集団感染が発生した大田(テジョン)のある療養院で接種者と未接種者を比較したところ、1回のワクチン接種だけで92.5%の予防効果が現れたと発表している。防疫当局は、予防接種の効果によって療養病院・施設の集団感染は今年2月の16カ所から先月は6カ所に減少したと分析している。

先月30日午後、光州広域市北区のコロナ予防接種センターで、保健所の医療スタッフが75歳以上の高齢者にファイザーのワクチンを接種している=光州/聯合ニュース

 コロナ予防接種対応推進団が集計した年齢層ごとのワクチン接種状況を見ると、17日午前0時までに80代以上の約112万人がワクチンを接種している。80代の接種率は49.8%。70代は18.7%で、30代から60代までは5~6%の水準だった。全体の接種率は7.3%。

 政府は、高危険群である高齢者を優先して接種するという基準に則って接種を進めている。18日午前0時現在、80代以上の高齢層のコロナ致命率は18.7%を示しており、年齢層別で最も高い。致命率が5.7%の70代と比べても3倍に達する。しかし、推進団が韓国の60歳以上のワクチン接種者を分析したところ、1回目の接種の2週間後から89.5%の高い感染予防効果が現れていた。死亡予防効果は100%だった。政府は、高危険群への接種が進んで危篤患者と死亡者も徐々に減るなど、高齢層を中心として防御壁が形成されれば、今年7月からは段階的に防疫措置を緩和できると明らかにした。

 60歳以上の高齢者への予防接種は来月3日まで進められるが、年齢層ごとの接種予約率は70~74歳が60.9%、65~69歳が52.7%、60~64歳が35.6%だった。中央防疫対策本部のイ・サンウォン疫学調査分析団長は「60歳以上の年齢層がコロナに感染すれば、100人中5人は死に至るほど致命率は高い。60歳以上の年齢層における予防接種の重要性を重ねて強調する」とし「居住地とは関係なしに、普段通っている病院を選択して接種を予約してほしい。家庭内に高齢者がいるケースで支障なく接種を終えられるよう、接種前に予約状況をよく確認し、接種後も健康状態に気を配ってほしい」と述べた。

キム・ジフン、アン・グァノク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/995771.html韓国語原文入力:2021-05-18 19:59
訳D.K

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