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「文在寅政権の4年、善意と価値示したが、力不足だった」

登録:2021-05-10 05:58 修正:2021-05-11 20:26
大統領就任宣誓式を終えた文在寅大統領が2017年5月10日午後国会の前をパレードしながら市民たちに手を振っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 2017年5月10日、のどかな春の日だった。文在寅(ムン・ジェイン)新大統領は就任宣誓で「国らしい国を作る」と約束した。真冬の広場で「これを国と言えるのか」という怒りから「朴槿恵(パク・クネ)弾劾」のろうそくを掲げた韓国の国民は彼に歓声を送った。あれからちょうど4年。本紙は政治専門家10人に文在寅政権の1460日間をどう評価するか、文大統領は残りの365日をどうやって送ればいいかのかについて、意見を聞いた。「善意を持って正しい価値を掲げたが、力量は足りなかった」という総評とともに、コロナ禍の終息と不平等の緩和に力を入れ、社会的対立を最小化すべきという診断が提示された。

「87年体制の破局…ろうそく連合の形骸化が最も残念」

 文在寅政権に対する期待が大きかっただけに、評価も厳しかった。延世大学のパク・ミョンリム教授は「文在寅政権は大量得点を抱えて出発した政権だという点を考えなければならない。文大統領が優れていたところもあったが、代案勢力の不在で反射利益を得た側面がある」と指摘した。慶南研究院のイ・グァンフ研究委員は「政権序盤で不動産政策の方向性を間違えており、所得主導成長が革新成長と不協和音を起こした時もうまく収拾できなかった。また包容国家と福祉国家のビジョンを最初から強く進められず、バランス発展政策も不十分だった」とし、「善良な意志に及ばなかった政策力」だと要約した。西江大学現代政治研究所のソ・ボクキョン責任研究員は「ろうそくで始まり、コロナ禍の対応で終わった」と指摘した。時事評論家のキム・ミンハ氏は「『絶対に検察に負けない』という意志だけが残った」と指摘し、財団法人ワグルのイ・ジンスン理事長は「積弊清算は時代の価値ではなく道具にすぎないが、これに力を入れるあまり、他の進歩的な議題を実践できなかった」と指摘した。

 パク・ミョンリム教授は「この4年間、韓国社会で進歩と保守を分ける基準が失われたことが最も残念だ」と述べた。彼は「文在寅政権の中心勢力である86世代(1960年代生まれ)が観念的には進歩だが、実際の暮らしにおいてはそうではなかったうえ、実質的にも進歩の価値と目標を逆転させてしまった」とし、二極化の解消を掲げながらも不動産の高騰で資産の不平等が深刻化しており、エコを主張しながらも実際は予備妥当性調査(大型事業で政治的・経済的な妥当性を事前に検証する制度)の免除を受けた土建事業が多かったという点などを例に挙げた。

 専門家らは、文在寅政権が敵味方の陣営論理で「ろうそく連合」を自らの手で解体してしまった点も大きな悪手に挙げた。ザ・モアのユン・テゴン政治分析室長は「ろうそくの民意というのは強固な進歩と中道が結合した80%の世論」だとしたうえで、「この『ろうそく連合』が形骸化したのが最も残念」だと指摘した。イ・ジンスン理事長は「進歩-保守、労働-資本という構図の87年体制が終わってから、新たな進歩の多極化体制が実現されず、陣営を分ける論理だけが横行している」とし、「87年体制は事実上破局を迎えた」と指摘した。このほか、時事評論家のキム・スミン氏は「改憲など政治制度改革を成し遂げられず、残念だ」と話し、「政治する母親たち」の活動家のチャン・ハナ氏は「公共部門の非正規労働者の正社員化をめぐり、“公正”の問題が浮き彫りになった時、新しいビジョンで突破すべきだった」と指摘した。

「率直なコミュニケーションが必要…二極化の解決がカギ」

 任期満了まで残り1年となり、専門家らは評価とコミュニケーションの重要性を強調した。ソ・ボクキョン責任研究員は、「非正規労働者の正社員化など社会経済的な改革目標をなぜ達成できなかったのか、方向性は正しかったにもかかわらず、条件が合わなかったのか、最初から修正すべき具体的目標は何だったのかを、学界や市民社会とともに見直す場を開くべきだ」と主張した。イ・ジンスン理事長は「不動産問題は一朝一夕には解決できない難題であることを国民も知っている。『このような部分は簡単には解決できない』と率直に言うことも必要だ。長期的にはこうした方向で共に進もうと説得しなければならないのに、総合不動産税の緩和などその場しのぎの政策を掲げるから、国民は怒っている」と述べた。

 これからは国政運営の安定的管理と、新型コロナが残した傷跡を治癒するのに集中すべきという意見が多かった。政治評論家のユ・チャンソン氏は「文大統領は4年間分裂と対立に埋もれ、統合のリーダーシップを発揮できなかった」としたうえで、「政治的対立を誘発した事案よりは、新型コロナワクチンの接種など安定的管理に焦点を合わせなければならない」と助言した。イ・グァンフ研究委員は「今年末、集団免疫がある程度成功すれば経済が活性化されるだろうが、結局は悪化した韓国の二極化を“K-防疫の成功”ほどに解決できるかどうかがカギ」だと話した。キム・ミンハ氏は「政権発足の初期には所得主導成長を掲げていたが、コロナ禍でいつの間にか消えてしまった。韓国をワクチンのハブ国にするなどの目標を打ち出す前に、コロナ禍で深刻な被害を被った階層への支援、雇用不安の解決に努めるべきだ」と述べた。

 パク・ミョンリム教授は「新型コロナによる危機克服の過程で、防疫と経済は国際指標などに比べても失敗していない。ワクチン接種率が高い国よりも感染者や死亡者の数値が良好だ。コロナ禍の最終段階を乗り越え、より根本的な福祉・安全・生命・環境の価値を回復することができれば、国民も評価するだろう」と述べた。慶煕大学のアン・ビョンジン教授は「ダブルスタンダードと不公正が文在寅政権の最も大きな失点要因だっただけに、これからは国民の目線に合わせて人事を行うなど、公正の基準を回復しなければならない」と指摘した。

イ・ワン、ソン・チェ・ギョンファ、キム・ミナ、シム・ウサム、ペ・ジヒョン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/994452.html韓国語原文入力:2021-05-100 2:42
訳H.J

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