「どうしてまだリボンをつけているんですか?」
セウォル号惨事から7年を迎え、黄色いリボンをマスクにつけてSNSに自撮り写真を載せた高校生のS君(17)は、こんなメッセージを受けとった。S君は昨年4月、真相究明の署名運動に参加した時にもらったリボンをカバンにつけ、2週間前からはマスクにもつけている。SNSでリボンを卑下するメッセージを受けたり、「かばんになんでつけているの」という友達の言葉を聞いても、彼はリボンを外そうとは思わない。「セウォル号惨事を忘れないという気持ちが大きいから。道で誰か一人でもリボンを見てセウォル号事件を思い出してくれたらと思って」
7年がたったが、黄色いリボンを身につけたり、SNSのプロフィール写真につけている人たちは依然として多い。S君のように「なぜずっとつけているの」という質問を受けても、彼らの気持ちは変わらない。
セウォル号惨事から7年目の前日である15日、黄色いリボンを外すことはできないという市民7人に、その理由を聞いた。「問題解決を求める」「記憶」「連帯」などで気持ちを伝えた人々は、黄色いリボンとしっかりとつながっていた。
彼らは、セウォル号惨事がいまだに根本的な問題解決に至っておらず、韓国社会の安全意識が高まっていないため、リボンは外せないと主張した。かばんとハンドバッグにリボンをつけたイ・ウォヌさん(40)は「惨事当時、育児をしていたため行動できず、その後も子どもがまだ小さかったので多くのことはできなかった。わたしにとって黄色いリボンは最小限の参加」だと述べた。「遺族はまだ日常に戻れていない。7年たったが真相をはっきり究明するきちんとした『白書』は出ておらず、責任者処罰も完全に行われていない」とし、引き続き変化を促す意味でリボンをつけていると語った。ピョン・ヒヨンさん(53)は「労働者が過労死したり人命被害が発生したら弔意のリボンをつけて問題が解決するまで忘れないという意志を示すように、黄色いリボンをつけるのはセウォル号の問題解決のために努力するという最小限の表示」だと話した。
黄色いリボンを通じて「セウォル号惨事を忘れない」と気持ちを引き締める意味もある。西村(ソチョン)の黄色いリボン工作所でリボン製作のボランティアをしているイ・エヒョンさん(42)は「政権が変わり、セウォル号惨事の真相究明をすると期待していたが、できなかった。セウォル号問題を政治的に悪用するのを見てうんざいるする雰囲気もあるが、記憶し続けることに少しでも役に立てばとボランティアに参加した」と説明した。ハム・セウンさん(20)も「忘れないという意志を(リボンに)込めている」と話した。
忘れないという気持ちは「連帯」につながる。Kさん(32)は「遺族がメディアのインタビューで『黄色いリボンをつけている人を見ると、私たちに共感してくれるようで励みになる』と話していたのを見た後、(リボンを)一度も外していない」とし「いつかどこかで遺族が私とすれ違ってリボンを見たときに、少しでも慰めになり、力になれば」と話した。
彼らは時間が経つにつれセウォル号を忘れ、誹謗する声が高まるのではないかと心配している。道を歩いていて、かばんにつけた黄色いリボンを見た中年の男性に「なぜこんなものをまだつけているのか」と文句を言われ当惑したことがあるというPさん(32)は「『気にしないでくれ』と平然と返したけれど、内心悔しかった」と言い、「まだ忘れられない人たちがいるのに、追悼する人を非難する声が大きくなるのではないか心配だ」と話した。
今年は新型コロナのために追悼活動が萎縮しそうに思えたが、7年めの追悼行事に対する関心はしぼまなかった。「黄色いリボン製作キット」の配布イベントを行う参与連帯の市民参与チームスタッフのキム・ヒョソンさんは「新型コロナのため集まって製作できず、製作キットの申込を受けて郵便で配送するが、440人が2万5千個を注文し、昨年より注文が2倍に増えた」と話した。