ドナルド・トランプ前政権の一方的な脱退で事実上破綻したイラン核合意(JCPOA=包括的共同行動計画)を修復しようという国際的な努力が本格的に始まった。
米国とイランを含む合意関係国らは6日(現地時間)、これを復旧するための協議を開き、「建設的な」出発を見せたと、ワシントン・ポストなどマスコミが会合に出席した高官の話として報じた。イランはバラク・オバマ米政権時代の2015年7月、米国、英国、フランス、中国、ロシアとドイツの6カ国(P5+1)および欧州連合(EU)と「イランが核開発プログラムを放棄する見返りに、米国とEUがイランに対する経済制裁を解除」することで合意した。
イラン側の首席代表のアッバス・アラグチ外務次官は会合後、イランの「プレステレビ」との会見で「成功したと言うにはまだ早い」としながらも、最初の交渉について「正しい軌道」だと評価した。これまでの核合意の復帰に対するイランの強硬姿勢からすると、肯定的な変化だ。アラグチ次官は米国に対し、イランの措置に相応する段階的措置よりも、先に制裁を解除すべという従来の要求を繰り返した。
ネッド・プライス米国務省報道官は、アラグチ外務次官が今回の交渉を“進展”として捉えたことを歓迎しながらも、トランプ前政権による合意の破棄後、再開された対イラン制裁の枠組みを解体するのに困難があることを認めた。同報道官は「われわれは今後の交渉における難航を予想しているが、これは前に進むための健全な一歩だ」と述べた。さらに「たとえ距離を置いても外交的接触においては本来の合意を順守するというバイデン大統領の公約を果たすための最善の道」だと強調した。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官も「長い道のりになると予想される」とし、「外交的経路が前に進むための正しい経路であり、みんなにとって利益になると信じている」と述べ、イランの核合意への復帰に対する期待を示した。
英国、ドイツ、フランス、ロシア、中国、EUを含む合意関係国らがすべて参加する同会合で、米国とイランは直接的な2国間交渉を行わず、欧州諸国の仲裁を通じて交渉する。EUの外交官エンリケ・モラ氏が交渉の調停役を務める。トランプ政権が同合意から一方的に脱退して以来、米国とイランが公の場で核合意の復旧を話し合うのは今回が初めて。
6日から始まった今回の会合は9日まで続く。エンリケ・モラ氏は「米国を含むすべての関係諸国と個別接触を強化する」と明らかにした。