韓米日の安全保障担当高官らが2日(現地時間)、米国で会い、北朝鮮政策について集中的に協議した。韓米日の安全保障の司令塔が集まり、韓米、韓日、日米の2国間会談および3カ国協議を行ったことで、見直しの最終段階にあるとされる米国の北朝鮮政策がいつ、どのような形で姿を現すのかに関心が集まっている。
韓国政府は、米国の北朝鮮政策の見直しが今月末前に完了するものとみている。具体的な内容まではいかなくとも、対北朝鮮交渉の基本原則と方向は公開される可能性がある。今月下旬、米国で開かれる韓米日外相会議がその契機になるという見通しも示されている。
米国の北朝鮮政策は、ジョー・バイデン大統領やアントニー・ブリンケン国務長官など外交・安保の中心人物たちの発言から、その骨子を推察することができる。北朝鮮の非核化という目標を維持し、同盟と協力し、対話と圧迫を並行することだ。また、ドナルド・トランプ前大統領が行ったトップダウン方式やイベント式の首脳会談は控え、外交官に権限を与えて実務交渉で成果を積み上げて行くボトムアップ方式を取るという点も予想できる。
注目すべきは、米国の北朝鮮政策に韓国政府との共感がどの程度反映されるかだ。政府は、米国が韓国の意見をかなり反映するものと期待しているという。
ソ・フン大統領府国家安保室長は2日、ワシントン近隣のメリーランド州アナポリスにある海軍兵学校での3カ国安保高官会議後、駐米韓国大使館で開かれた記者懇談会で「韓米日は北朝鮮核問題の緊急性や外交的解決の必要性に共感し、朝米交渉の早期再開に向けた努力が引き続き行われるべきという点において、意見を共にした」と述べた。
ソ室長は、ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談で、非核化の過程で北朝鮮に対する関与の重要性▽韓米間で調整された戦略づくり▽南北関係と非核化交渉の好循環的機能を強調したと記者団に明らかにした。北朝鮮の非核化に向け、バイデン政権が北朝鮮と速やかに対話に乗り出すべきであり、南北関係の改善が朝米対話にもプラスになるという点を集中的に説明したということだ。
ソ室長は特に、朝米交渉の早期開始が望ましいと強調したという。政府は、バイデン政権の北朝鮮政策の見直しが予想より早く進んでおり、これは米政府が北朝鮮と交渉を早期に開始する意志を持っていることを裏付けるものだとみている。
前政権の北朝鮮政策を批判してきたバイデン政権が、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長によるシンガポール共同宣言(2018年6月)を認めるような態度を示しているのも、このような脈絡でみることができる。
米政府高官は1日の記者ブリーフィングで「シンガポール宣言の一部でも依然として有効なのか」という質問に対し、「私はシンガポール合意の重要性を理解している」としたうえで、「数日中にそれについて話す機会があるだろう」と答えた。
シンガポール共同宣言は、新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島平和体制の構築▽朝鮮半島の完全な非核化▽米軍遺骨の送還の4項目で構成されている。バイデン政権は北朝鮮政策の見直し過程で、シンガポールでの朝米首脳会談など30年間の非核化交渉の過程と関連文書をすべて見直したと、韓国側に説明したという。バイデン政権がシンガポール共同宣言に対する尊重を表明する場合、北朝鮮に対する強力な対話のシグナルになる可能性がある。
韓国政府が朝米の信頼構築に向けた重要な措置として強調する朝鮮戦争の終戦宣言も、米国の北朝鮮政策の見直し過程で話し合われたという。
韓米日の安全保障担当高官らが協議後に発表した報道声明で強調したのは、北朝鮮への対応における3カ国の協力だ。3人は声明で「北朝鮮の核および弾道ミサイルプログラムに対する懸念を共有し、3カ国間の調整された協力を通じて非核化を成し遂げる意志を再確認した」と述べたと、ホワイトハウスが発表した。また「北朝鮮をはじめとする国際社会が(北朝鮮に対する)国連安保理決議を完全に履行することが緊要だということに同意し、核拡散を防止して朝鮮半島内の抑止を強化すると共に、平和と安定を維持するために協力していくことで合意した」と明らかにした。最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射実験に対する警告だ。
3カ国の安全保障担当高官らはまた、「共有された民主主義の価値に基づいた共同のビジョンを進展させることで合意した」と明らかにし、中国への対応をめぐる協力案も話し合ったことを示唆した。1日、米政府高官は今回の安保高官会議で半導体供給網や南シナ海問題、ミャンマーの軍事クーデターなどの地域問題も取り上げられると予告した。
米国の対北朝鮮政策の最終的な形は、韓国や日本などの意見を集約したバイデン政権の選択にかかっている。トランプ政権も壁にぶつかった北朝鮮の非核化行動とそれに相応する措置をいかに組み合わせるかは、依然として難題だ。早期の対北朝鮮関与を追求する韓国と、対北朝鮮への圧力に重点を置く日本の見解の相違をどう調整するかも課題だ。
一方、韓日米安保室長会談が終わった後、ソ・フン大統領府国家安保室長は日本の北村滋国家安全保障局長と2国間会談を行い、北朝鮮をめぐる最近の情勢について意見を交わしたと、共同通信が報じた。米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)も北村局長と個別会談を行った。