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米、トランスジェンダーの軍務を容認…性適合手術受け除隊の韓国兵士、苦しみは今も

登録:2021-01-28 03:53 修正:2021-01-28 06:55
昨年8月、ソウル鍾路区の参与連帯で開かれた「トランスジェンダー軍人ピョン・ヒス下士の転役処分取り消しに向けた行政訴訟提起記者会見」で、ピョン元下士が発言している=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 ピョン・ヒス元陸軍下士(下士は軍の階級名)がトランスジェンダーであることを理由として強制転役(除隊)させられてから1年が過ぎたが、転役処分取り消しを求める行政訴訟は数カ月にわたって一度も開廷されていないことが分かった。米国が最近、トランスジェンダーの軍務を再び許可した中、韓国でもピョン元下士の復職を求める声があがっている。

 軍人権センターは27日、論評を発表し、「ピョン元下士が強制転役させられてから、すでに1年という時間が流れているが、韓国軍はトランスジェンダーの軍務問題について、いかなる苦悩も研究もしていない」として、国防部を批判した。また「大田(テジョン)地方裁判所は提訴から5カ月が過ぎた現在も、第1回の口頭弁論の期日さえ指定せずに時間ばかりをを費やしている」とし「不当な措置により、一夜にして夢と職場をすべて失った被害者は、いつまで裁判所だけを仰ぎ見ながら、約束されない時間を過ごさねばならないのか」と述べ、裁判の速やかな進行を求めた。

 ピョン元下士の訴訟代理人であるキム・ボラミ弁護士はこの日、ハンギョレの電話取材に対し「ピョン元下士は権利救済が早期に実現することを希望しながら、現在、苦しい時期を過ごしている」と語った。ピョン元下士は昨年8月11日、陸軍参謀総長を相手取って、強制転役処分の取り消しを求める行政訴訟を起こした。2カ月が過ぎても期日が決まらなかったことから、同年11月17日には「被告の答弁書未提出により、裁判進行が数カ月にわたり理由なく遅延しているため、速やかに弁論期日を指定してほしい」とする期日指定申請書を裁判所に提出した。しかし、5カ月が過ぎた今も弁論期日は決まらず、陸軍も答弁書を提出していない。

 軍人権センターとキム弁護士は「米国の例を見てほしい」とし、ピョン元下士の復職が実現されるべきだと主張した。25日(現地時間)、ジョー・バイデン米大統領は、ドナルド・トランプ前大統領が制限していたトランスジェンダーの軍務を再び認める行政命令に署名した。キム弁護士は「外国は人権を重視して性的マイノリティーの軍務を次第に認める傾向にある。米国の決定は他の国にも影響を与えるだろう」と述べた。

 2019年11月の休暇中に性別適合手術を受けたピョン元下士は、女性軍人としての服務を希望したものの、陸軍は昨年1月23日、同氏に「心身障害3級」の判定を下し、強制転役させた。国家人権委は昨年12月、軍の措置を「法的根拠のない人権侵害」と判断した。

イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/980632.html韓国語原文入力:2021-01-27 15:30
訳D.K

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