文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新年初の国務会議を開き、「今年は新型コロナウイルスを必ず早期に克服し、失われた国民の日常を取り戻す」と語った。文大統領はまた、「コロナがもたらす苦痛の重さは決して平等ではない」とし、「政府は第3次災害支援金を来週から支給するなど、困難の軽減のため最善を尽くしている」と述べた。
文大統領は5日、大統領府や政府ソウル庁舎などを映像で結んだ国務会議で「今年の大韓民国の最優先課題は、コロナの長いトンネルから一日も早く抜け出すこと」と述べた。文大統領は「幸い最近、感染再生産指数が下がるなど、コロナ拡散がピークを過ぎて少しずつ抑制されている」としつつも「油断は禁物だ。防疫の手綱をさらに引き締める」と述べた。
文大統領は続いて「コロナによる不安な国民生活を安定させることも非常に緊急な課題」と指摘した。文大統領は「小商工人と自営業者の経済的打撃が最も大きい。政府は来週から第3次災害支援金を支給するなど、困難を軽減するため最善を尽くしている」と述べた。さらに文大統領は、ケアの格差、教育格差など、コロナによって明らかとなった格差を解消するとともに、臨時職、日雇い、特殊雇用職などの脆弱階層の雇用セーフティネットの拡充に力を入れるとの決意を示した。ここのところ政界では、コロナ災害支援金の普遍支給を求める主張が再び持ち上がっているが、文大統領がコロナによる「不平等」と「格差」を強調したところを見ると、大統領府内の雰囲気は選別支援の方に重きを置いているものとみられる。
大統領府のイム・セウン副報道官は国務会議後のブリーフィングで「2021年度一般会計目的予備費支出案が審議、議決され、小商工人と雇用脆弱階層のための4兆8000億ウォン(約4530億円)が第3次緊急災害支援金として使われることになり、11日から対象者に迅速支給される予定」と明かした。
さらに文大統領は、内閣の今年の主要課題の一つに不動産問題を挙げた。文大統領は「投機需要の遮断と住宅供給の拡大、賃借人保護の強化という政府の政策基調を保ちつつ、さらなる対策の樹立に躊躇しない」とし「何よりも革新的かつ多様な住宅供給方策を迅速に講じることに力点を置く」と述べた。
この日の国務会議での冒頭発言で、文大統領は今月2日に顕忠院を参拝した際に使った「国民の日常の回復」を改めて強調した。新型コロナで壊れた市民の日常を取り戻そうとのメッセージで今年の政務を開始したかたちだ。これに向けて文大統領は、ワクチン接種や治療薬の商用化などのコロナ防疫とともに、経済的打撃の大きかった自営業者や脆弱階層の支援、不動産市場の安定化などを、内閣に政策目標として注文したものとみられる。大統領府の関係者は「今年は次の選挙を控えた最後の年なので、政策課題の達成に向けて一層努力しなければならない」と述べた。
文大統領は、昨年の年初には、政権4年目を迎えて「確実な変化」との言葉を選んでる。顕忠院の芳名録に「確実な変化」と記し、その後の新年のあいさつでも「ろうそくを手に取って民主共和国を守り抜いた崇高な精神を改めてかみしめる」と述べている。大統領府は、文大統領が2021年の構想を述べる新年のあいさつと年頭記者会見の日程をまだ公開していない。