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ソウル東部拘置所関連で514人の感染を確認…最大の集団感染の原因は?

登録:2020-12-26 02:20 修正:2020-12-26 14:48
20日、ソウル松坡区のソウル東部拘置所で、収容者たちがタオルと手を振りながら助けてくれと叫んでいる=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 収容者185人の新型コロナウイルスへの集団感染が発生したソウル東部拘置所で、わずか1日の間にさらに300人近い感染者が確認され、24日の国内の1日当たりの新規感染者数は過去最多規模となった。定員を超過した過密収容などの構造的な問題が大規模な集団感染を引き起こしたとの指摘が出ている。

 中央災害安全対策本部(中対本)は25日、前日の東部拘置所における2回目の全数検査(職員416人、収容者2021人が対象)で感染が確認された288人を含め、コロナ感染者が新たに1241人確認されたと発表した。同日0時現在のソウルの新規感染者も過去最多の550人で、このうち半数以上(52%)の患者が東部拘置所関連の感染だった。すでに同拘置所では、今月18日に行われた1回目の全数検査(職員435人、収容者2419人対象)で185人が陽性判定を受けている。

 ソウル市は、この日までに拘置所職員と服役者、その家族や知人ら6006人を調査した結果、510人が陽性判定を受けたと発表した。先月27日にソウル松坡区(ソンパグ)に住む大学受験生が最初に陽性判定を受けた後、その家族に1次感染し、東部拘置所に勤務する家族(刑務官)を通じて同僚職員と収容者に2次感染した。さらに彼らが家族や知人と接触したことでn次感染が引き起こされた。ソウル以外の市・道の感染者も含めると、ソウル東部拘置所関連の累計感染者数は514人にのぼる。

 最長14日間の潜伏期間を考慮すると、感染者はさらに増える可能性もある。ソウル市は「まだ潜伏期が残っているため、東部拘置所関連の感染者はさらに確認される可能性がある」とし「18日の1回目の全数調査で陰性と判定された検査対象者も、潜伏期を考慮し(2回目の検査まで)隔離および追跡調査を行ってきた」と述べた。

 防疫当局は、収容定員を超えるなどで密集度の高い矯正施設の中でも、東部拘置所は2017年の新築移転時に「マンション型建物」として建てられているうえ、室内生活中心の運営がなされてきたため、大規模な感染が起こったと見ている。法務部の資料によると、今月13日現在の東部拘置所の収容人数は2412人で、収容定員(2070人)を超えている。中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長はこの日の定例ブリーフィングで「平屋形態で、運動場などで野外活動をする他の拘置所と異なり、東部拘置所は12階建てのマンション型建物5棟で構成されており、ほとんど室内で生活するという特性がある」とし「収容密度も高く、1回目の全数検査で多くの感染者が確認されており、(現在)1棟に隔離収容されている感染者も、個室が不足しているため相部屋となっているケースもあるようだ」と説明した。

 法務部と防疫当局はこれまで、1回目の調査で確認された感染者に対しては拘置所内の隔離棟で生活治療センターに準ずる治療、管理を行ってきたが、収容能力を超える感染者がさらに確認されたため、矯正施設内の患者を外部へ移すことを検討している。まだ収容者がいない新築の拘置所や、現在は空室状態の防疫当局指定の生活治療センターへの入所などが検討されている。重症以上の患者については、直ちに専門病院への入院、および刑の執行停止を提案する。

 また、全国50の矯正施設を対象として、外部からの感染伝播を遮断するための対策も実施する。今月23日から新規収容者の入所時に迅速抗原検査(1次検査)を行うとともに、新規収容者の隔離期間をこれまでの2週間から3週間へと延長する。

 人権連帯のオ・チャンイク事務局長は「1日平均30分の運動を除いた残りの時間を、複数人が一つの空間で生活する矯正施設の構造そのものが、コロナ感染に非常に脆弱だ。東部拘置所が終わりではなく始まりである可能性があるだけに、施設の特性に合わせた体系的な防疫対策を急がねばならない」と述べた。

ソン・ダムン、キム・ヤンジン、オク・キウォン、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/975946.html韓国語原文入力:2020-12-25 16:29
訳D.K

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