外交部のカン・ギョンファ長官が「男性中心の既得権文化」の中で常に女性に対する差別と偏見を意識して働いていると語った。史上初の女性外交部長官が自分をめぐる「パッシング(無視)」が絶えず物議を醸してきたことを意識した発言と見られる。
カン長官は16日、外交部と放送局「tvN」が共同で行った「グローバル革新のための未来対話」フォーラムの対談で、米ロサンゼルス・カリフォルニア大学(UCLA)のジャレド・ダイアモンド教授(『銃・病原菌・鉄』の著者)が「女性が力を発揮する環境が不十分だ」と言及したことを受け、「女性初の外交部長官という重みを感じ、全力を尽くしているが、たまに『女性だからこうなるのか』と思う時がある。男性中心の既得権文化の中で自分が果たして受け入れられているのか、自問自答する時もある」と述べた。
カン長官はさらに「そのたびに、私はただ職責を全うするために全力を尽くしており、夜寝る前『今日やるべきことを全部やったか』という質問にすんなり答えが出てくる場合は安心して横になり、翌日に備える」と付け加えた。
カン・ギョンファ長官は、史上初の「非外務国家試験出身で初の女性外交部長官」に任命された時から大きな話題になった。
カン長官が「男性中心の既得権文化の中で自分が果たして受け入れられているのか、自問自答する」と発言したのは、自分をめぐる「パッシング」が絶えず物議を醸してきたことを意識したためとみられる。最近、一部のメディアは、3日に行われた米大統領選挙を控え、マイク・ポンペオ米国務長官が先月初めに予定された韓国訪問を取りやめたことを受け、米国の対アジア外交で「韓国パッシング」が行われていると指摘した。
さらに、先週末には韓日関係改善のためにパク・チウォン国家情報院長らが動いているにもかかわらず、外交部の姿が見えないとして、「パッシング」が再びマスコミに取り上げられた。これを受けて外交部は16日、釈明資料を出し、「表面的な要素だけに基づいた断定的・推測性の記事は、厳しい対内外の環境下で多角度から進められている韓国の国益守護と増進に向けた努力に資しない」と抗弁した。
カン長官が、自分をめぐるパッシングが話題になることに不快感を表したのは今回が初めてではない。先月7日の国会外交統一委員会国政監査で、海洋水産部所属の漁業指導員が北朝鮮軍によって殺害された事件を処理する過程で、関係長官会議に出席できないなど、事実上「パッシング」されたのではないかという質問に対し、「私も会議開催の通知を受けられなかったことに対して問題意識を感じ、国家安全保障会議(NSC)常任委員会で問題提起した」という異例の発言を残した。
先月26日には「公館職員の性暴力事件が後を絶たないが、長官に責任を負う意向があるのか」というイ・テギュ議員(国民の党)の質問に対し、「性暴力や綱紀の緩みと関連し、国会に来るたびに絶えず指摘されており、さまざまな事件と事故が相次いでいることについて、長官である私が何らかの限界というか、リーダーシップの限界を感じている」と述べ、もどかしさをにじませた。