このようなことから、新型コロナは厳密に言えば、証券市場にとって悪材料ではなかった。ウイルスのおかげで、むしろゼロ金利や大規模な財政政策が可能となるとともに、いま最高に売れているグローバルな夢の株も、低金利や非対面環境の最大の恩恵を受けた株だからだ。では、これからもウイルスは証券市場にとって味方であり続けるだろうか。それは疾病の拡散のスピードにかかっている。もし、今のように1日の新規感染者が30万人前後にとどまるなら、各国の経済がさらに衰退して株価が暴落するとは考えにくい。ある程度のウイルス活動は、技術株や既存の非対面関連株の株価を押し上げる要因として働き得るからだ。
しかし、今後COVID-19が再拡散すれば話は変わってくる。学習効果によって、第2次パンデミックは即ち株を安価に購入できるよいチャンスだと考えることもできるが、それほど単純な問題ではない。次のような点が第2次パンデミックの危険因子だ。
第一に、景気と企業利益の悪化だ。世界経済がCOVID-19以前の水準にまで回復する時期は、当初の予想よりはるかに遅れて2022年下半期以降となる見込みで、経済予測は下方修正せざるを得ない。欧州経済にしても、今年第2四半期は11.8%のマイナス成長で、第4四半期に再び似たようなマイナス成長となる可能性もある。第二に、厄介な第2波ウイルスの影響が、各国の政策対応力を落とすだろう。世界はすでに多くの政策カードを切ってしまっている状態だからだ。事実上、大半の国は、今後さらなる金利引き下げは難しく、十分に供給する財政もない状態だ。第三に、数四半期前に比べ株価がかなり高くなっていることが負担となっている。多くのグローバル証券市場はCOVID-19以前の水準を超えており、米国の技術株は年明けに比べ20%以上も上昇している。証券市場全体の重さ(時価総額)から見ても、市場全体に対する主導的な株の価格の相対的な強さから見ても、今の株価は20年前のITバブルを思い起こさせるほど過熱している。
このように、新型コロナウイルスが世界を再び襲えば、必ず上半期と似たような状況(短期的下落の後の急騰の再現)が展開される、と断言することはできない。価値に比べ高くなりすぎた株が問題となり得るし、経済封鎖が長引くことで政策の限界が続々と露呈する可能性もある。もちろん、そうしている間にワクチン普及の日程が具体化するだろうし、ついにこのうんざりする微生物がいつごろ制圧されるのか、その答えが見つかるだろう。ただし、逆にウイルス制圧に光が差すからといって、無条件にそれが株価にとって好材料となるとは限らない。金利が上がり、これまで享受していた流動性環境が変わる可能性があるからだ。
株式投資家の立場からすれば、激しいウイルスの拡散も、速すぎるウイルス終息も、どちらも負担となるわけだ。このように、株価が上昇しうる条件は最近ますます厳しくなって来ている。新型コロナウイルスのスケープゴートにならないためには、市場に性急にアプローチし過ぎるのではなく、周辺を広く見渡し、何が本当の好材料で悪材料なのかを見分ける知恵がさらに必要な時期に来ているようだ。