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「国民の暮らしを崩壊させたのに…」文大統領、極右教会の陰謀論に激昂

登録:2020-08-28 06:11 修正:2020-08-28 07:57

教会指導者との懇談会で強硬発言 
「居直り」「非常識」前例のない批判 
防疫危機・経済の不確実性の高まりに懸念示す 
「宗教を事業場扱い」という韓教総の指摘に 
文大統領「防疫は信仰ではなく、科学の領域」と反論 
一部では「特定集団、連日批判することに懸念」 
 社会的距離措置のレベル3への引き上げには慎重 
未来統合党「国民の安全を守るべき」と繰り返し要求 
政府与党と大統領府「レベル2の実効性を踏まえて決定」 
引き上げた場合は経済・日常止まる…悩み深まる

文在寅大統領が今月27日、大統領府本館で開かれた韓国プロテスタント教会指導者招請懇談会で発言している/聯合ニュース

 27日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は防疫を妨害して物議を醸した一部のプロテスタント教会を公開的に批判した。「居直り」や「非常識」などの激しい言葉とともに、「防疫は信仰の領域ではない」とたしなめるような発言まで出た。8・15の光化門(クァンファムン)集会への参加者らを中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者が全国に広がっている状況で、これを「文在寅政府の陰謀」と攻撃する一部のプロテスタント勢力に対し、怒りをあらわにしたのだ。しかし、不安な民心をなだめ、事態の収拾に先頭に立つべき大統領が、連日特定集団を狙って怒りまじりの批判をするのは適切ではないという声もあがっている。

 文大統領は同日、教会の指導者らを招待して開いた懇談会で、チョン・グァンフン牧師率いるサラン第一教会などを対象に「国民の生活を崩壊させ、国全体を困難に陥れている。ようやく日常に戻れる希望が見えてきた国民生活が再び崩れつつある」と述べ、強い遺憾の意を表した。さらに「意図したわけではないとしても、これほどの事態になれば、少なくとも国民に申し訳なく思って謝罪しなければならないのに、むしろ居直って陰謀説を主張し、政府の防疫措置への協力を拒否している。ごく一部の非常識が韓国教会全体への信頼を損ねている」と非難した。

 「教会や寺院、聖堂のような宗教団体を営業所や事業所のように扱わないでほしい」というキム・テヨン韓国教会総連合共同代表会長の発言に対しては、「信仰を表現し、礼拝する行為を国家は最大限保護しなければならないが、不可避な場合には規制できるよう、感染症予防法で制度化されている。客観的な状況は教会指導者も認めなければならない。防疫は信仰の領域ではなく、科学と医学の領域だ」と反論した。

 大統領府関係者は「光復節集会の自制を何度も要請したが、一部教会が集会を強行したことでCOVID-19の全国拡散の原因となったことに対する国民的怒りを文大統領が強い口調で表現したもの」だと説明した。もちろんこうした文大統領の激しい反応を「政府失敗論」を鎮め、防疫失敗の責任を極右プロテスタント教会に転嫁するための戦略と見る人もいる。景気低迷の長期化を懸念した政府があまりにも早く防疫の手綱を緩めたため、COVID-19の再拡散が始まったという学界と市民社会一部の見解に反論するため、大統領府と与党が「極右責任論」を連日強調しているということだ。

 文大統領の発言があった同日、大統領府はCOVID-19再拡散に対する危機感をにじませながらも、「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」の引き上げには慎重な態度を示した。レベル2の措置の実効性を見極めてから判断すべきという態度だ。大統領府関係者は「週末までに光化門集会関係者らに対する全般的な検査が終了する。今後の拡大の可能性や、2週間にわたるレベル2の措置の実効性を判断した後、引き上げるかどうかをを決める方針だ」と述べた。レベル3の ソーシャル・ディスタンシングが市民の日常生活を極端に制限する措置であることも、大統領府と政府ができるだけ引き上げを避けようとする理由だ。総理室関係者は「レベル3に引き上げれば、日常が事実上止まる。庶民経済が受ける打撃は大きい」と述べた。一部では今年3月、大邱(テグ)・慶北の新天地イエス教会に端を発した集団感染当時、感染者数が900人を上回った時も「シャットダウン」措置は取らなかったという点を強調する。国会保健福祉委員会所属のある与党議員は「レベル3(のソーシャル・ディスタンシング)で感染拡大を一時的に防げるかもしれないが、根本的な解決策ではない。レベル2で最大限感染拡大を食い止める方が現実的だ」と述べた。

ソン・ヨンチョル、ノ・ジウォン、ソ・ヨンジ、イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/959665.html韓国語原文入力:2020-08-27 20:48
訳H.J

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