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[ニュース分析]中国「協力のパートナー」…韓国「米中協力が平和にとって重要」

登録:2020-08-24 01:11 修正:2020-08-24 07:59
ソ・フン国家安保室長(左)と楊潔チ・中国共産党政治局委員(外交担当)が今月22日午後、釜山のウェスティン朝鮮ホテルで開かれた会談終了後、ホテルのテラスで握手を交わしている/聯合ニュース

 「長時間にわたり、あらゆるテーマについて、十分幅広く、とても有意義な対話を交わした」(ソ・フン大統領府国家安保室長)

 「今日、充実した良い話し合いができた」(楊潔チ・共産党政治局員)

 22日午後、長期間の会談を終え、取材陣の前に姿を現したソ・フン室長と楊潔チ政治局員は、すっきりした顔で殺到する質問に短く答えた。マスクをつけたまま見える目の表情や大ぶりなジェスチャーが、6時間にわたる同日の会談が友好的な雰囲気の中で行われたことをうかがわせた。

 今回の会談が韓中はもちろん、米国や日本など周辺国の注目を集めたのは、“微妙な時期”に行われたためだ。今年6月末、中国が香港人の自由を大きく制限する「香港国家安全維持法」を制定した後、覇権をめぐる米中の対立は経済・軍事を越えて、理念の領域まで及び、次第に露骨で全面的な様相を帯びている。米国は先月、南シナ海で空母2隻を動員した大規模な軍事演習を行った。先月23日にはマイク・ポンペオ米国務長官が演説で、米国や欧州、韓国、日本など自由主義国家が中国共産党に対抗して連帯しなければならないと訴えた。こうした巨大な渦の中で、静観を続けてきた中国が、1カ月の沈黙を破り、韓国(20~21日)とシンガポール(19~20日)に「外交の司令塔」である楊潔チ政治局員を派遣したのだ。米中の間で中立外交を掲げるシンガポールと地政学的かつ経済的に対中依存度が高い韓国との関係を強化することで、米国の“中国包囲網”に対抗しようとする戦略的意図があるものと見られる。

 同日の会談は、中国が韓国に対して「互いに重要な隣国であり、協力のパートナーとして協力を持続していこう」と要求した一方、韓国は「米中間の公営と友好協力関係が北東アジアおよび世界の平和と繁栄にとって重要である」(カン・ミンソク大統領府報道官の書面ブリーフィング)ことを強調したという文で要約できる。疎通と関係強化を求める中国に対し、ソ・フン室長は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる協力の拡大▽韓中自由貿易協定(FTA)第2段階交渉の加速化▽新南方・新北方政策と「一帯一路」の連携協力モデル事業の発掘など、協力できる分野では協力を約束する一方、現在問題の根本原因である米中関係の改善への積極的な取り組みを求めたのだ。

 両国は同日、焦眉の関心事である習近平・中国国家主席の訪韓についても「COVID-19状況が安定し、条件が整い次第、早期に実現させることで合意」した。この過程で楊政治局員は「韓国は習主席が優先的に訪問する国」であることを確認するなど、韓中関係改善に対する強い意志を隠さなかった。習主席の訪韓が現実化すれば、2014年7月以来6年ぶりの訪韓となる。2人は今年韓国で開催される韓中日3カ国首脳会議についても「年内開催の必要性について協議した」と明らかにした。

 「人民日報」の22日付の報道によると、今回の訪韓に対する中国の期待をより明確に確認できる。楊政治局員は同日、ソ室長に「高官級交流と戦略的疎通を強化し、両国の発展戦略の積極的な連携を推進する」ことで、「中韓の戦略的協力パートナー関係を新たな段階に引き上げよう」と提案した。また、中国の一方主義に対する批判を認識したように「互いにウィン・ウィンとなる新たな国際関係を作るために協力し、韓国とともに多国間国際協力を強化して多国間主義と自由貿易守護を望む」という点を強調した。米中貿易戦争など「米国優先主義」が際立つ主要懸案で、韓国が中国を支持することを遠まわしに要請したわけだ。全体的に韓国が今回の会談で、COVID-19危機克服に向けた航空便の増設など、実務的問題に重点を置いた一方、中国は韓中「戦略的パートナー関係」の深化に言及するなど、根本的・構造的関係の再設定問題を重視したといえる。

 同日の会談は笑顔で終わったが、肝心の問題はこれからだ。同日の“探索的会談”以降、習主席の訪韓と結びつけ、疎通と関係強化を求める中国の全面的な要求が続く可能性もある。その過程で、かつての「THAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐる対立」のように、米国と中国の間で二者択一を迫られる敏感な懸案が浮上すれば、4年前のように再び様々な困難が強いられる恐れもある。

キル・ユンヒョン、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/959009.html韓国語原文入力:2020-08-23 21:03
訳H.J

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