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企業秘密を奪い、15年続く契約も打ち切り…現代重工業に「最高課徴金」の鉄槌

登録:2020-07-27 04:55 修正:2020-07-27 15:51
現代重工業//ハンギョレ新聞社

 現代重工業が下請け会社の核となる技術を強制的に奪った末、約15年間続いてきた取引まで一方的に打ち切ったことに関し、技術資料の奪取で過去最高額の課徴金が課されることになった。

 公正取引委員会(公取委)は26日、現代重工業が主要部品の供給を受けていたグローバル強小企業(小規模で一般的な知名度は低いが、特定分野で国際的に優れた実績のある企業)S社から強圧的に技術資料を奪ってライバル会社に渡し、その後、取引も打ち切っていたことを確認し、是正を命ずるとともに課徴金9億7千万ウォン(約8580万円)を課すことを決めたと発表した。公取委が技術資料の奪取と流用行為に対して課した課徴金としては、過去最高額だ。

S社は現代重工業が技術を奪ったピストン開発企業。B社は現代重工業が奪取した資料を渡したライバル企業=資料:公正取引委員会//ハンギョレ新聞社

 公取委によると、現代重工業は2000年に船舶用ディーゼルエンジンを開発したが、核となる付属品であるピストンは国外メーカーから輸入して使用していた。これを改善するために現代重工業は2003年、当時韓国最高の技術を持っていたS社にピストンの国産化を要請し、研究開発の末、国外製品に代わるピストンの開発に成功した。両社の関係は2012年夏ごろ、現代重工業がS社の企業秘密であるピストン製造技術に関する情報を強制的に奪ったことで亀裂が生じた。現代重工業はS社からピストンの独占供給を受けていたが、数年が経つとコスト削減のために供給の二元化を望むようになった。結局、発注元の地位を利用してS社からピストン製作に必要な材料、部品、製造工程ごとの設備、管理項目などが記載された最重要技術資料を事実上強制的に奪った。続いてS社の技術を別のピストン開発企業B社に密かに渡し、製品を生産させた。

 技術情報を渡さなければ量産承認が取り消される可能性があると、現代重工業がS社に圧力をかけていたことも明らかになっている。また、企業秘密の開示を求めつつも、何の書面資料もS社に渡していなかった。結局、現代重工業は秘密裏に進められていたB社の製品開発が終わると、両社に競争をさせた。その後わずか3カ月でS社製品の単価は11%も引き下げられた。これに止まらず、現代重工業は1年後にS社との取引を完全に打ち切った。遂にS社は2017年1月に現代重工業を警察に告発し、続いて公取委も昨年10月に検察総長の要請を受けて現代重工業と主な社員および幹部を告発している。

 公取委は今回の調査で、大企業がコスト削減のため、下請企業から技術資料を奪い、これを他の企業に提供した末、遂には取引すら打ち切ったことを確認した。現代重工業は「欠陥発生対策のために資料を要求した」と主張したが、公取委は「欠陥発生に関する要求は最小限の範囲を超えており、欠陥が発生していない製品に関する情報も要求事項に含まれていた」として、これを認めなかった。昨年、国会の産業通商資源中小ベンチャー企業委員会の国政監査でもこの問題が取り上げられると、共に民主党のソン・ガプソク議員は「S社は現代重工業に技術が奪われて発注が急減し、2018年からは受注が完全に途絶えている」とし「協力企業の核となる技術を奪い、弊履のごとく捨てる行動が、果たして世界造船1位の企業にふさわしい行いなのかを考えなければならない」と非難している。ただし、公取委は昨年すでに検察に告発しているため、今回更なる告発はしないこととしている。

 1975年に設立されたS社は、鉄道の機関車、発電所、エンジンの技術でコルベンシュミットなどのドイツの2つの企業と並び、ピストン分野で世界3大企業として認められてきた。昨年、日本が韓国を相手に報復的輸出規制を始めた際も、中小企業ベンチャー部が選定した「素材・部品・装備(素部装)強小企業100社」の一つに挙げられるなど、先進技術を持つ企業として評価されている。

 公取委は「下請会社に対し技術資料を要求したり流用行為を行ったりしてはならず、正当な理由があっても必ず書面方式を取らなければならない」とし「技術力を持つ強小企業が正当な対価を受け取って、新たな成長基盤を整備できるよう、技術流用行為の監視を強化する」と述べた。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/955211.html韓国語原文入力:2020-07-26 11:59
訳D.K

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