動画の中の人物の動作を人工知能が感知し、盗難や無断投棄などの摘発に用いる民間サービスが発売され、物議を醸している。特にモニタリングの必要ない便利なセキュリティ技術ではあるものの、商業目的の超監視社会に対する懸念も強い。
KTは22日、知能型監視カメラ(CCTV)「ギガアイズ」を用いた「投棄・盗難感知」知能型映像分析サービスを発売すると発表した。知能型映像分析とは、映像の中の対象物が何であり、どのような状況なのかを人工知能が判断し、知らせてくれる技術だ。人が一日中モニターを見守る必要がなく、特異な状況が発生すれば、利用者はすぐに通知を受け、対応することができる。
「盗難」感知映像分析は、物品の盗難を人工知能がリアルタイムで感知して知らせてくれる。「投棄」感知は、あらかじめ設定した監視領域に誰かが物体を置いて立ち去るケースを感知し、直ちに通知を送ってくれる。利用者には状況発生時の動画が提供されるとともに、要請に応じてセキュリティ要員が現場に出動する。ごみの無断投棄や無断駐停車の監視をはじめ、商店やギャラリーの展示品の監視、倉庫や工場での盗難の感知、空港などでの爆発物の疑いのある物体のモニタリングなど、幅広く活用できる。「投棄」と「盗難」を感知した映像の分析は、カメラ1台当たり月4400ウォン(約400円)で利用できる。KTは「テストの結果、暗くて照明のない場所でも90%以上の正確さで監視対象物とその動作を感知する。盗難と投棄の動作を自動感知する機能のサービスは国内初」と述べた。
しかし市民団体からは、本格的な監視技術の商業サービスを懸念する声があがっている。情報人権団体「進歩ネットワーク」のオ・ビョンイル代表は「従来の監視カメラでも行えた機能だが、人工知能を用いた動作感知機能によって自動化するのは、技術の影響力の面でかなり異なる」と述べた。従来の監視カメラは、プライバシー侵害の恐れが高い状況においては撮影対象者の同意を得ることが難しいことから、設置場所などの手続き上の要件が細かく規定され、設置案内板の掲示などの制約条件が法律(情報通信網法、個人情報保護法)で定められている。既存の法律は、動作感知機能付きの知能型監視カメラの出現を想定せずに制定されたという限界を持つ。オ代表は「AI動作感知監視カメラについての社会的議論、そして新たな法の制定が必要。今後は、映像を顔認識と結合して監視対象の身元を把握する可能性などに対しても備えなければならない」と述べた。