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新型コロナで就職の門戸も帰国も閉ざされた移住外国人、「緊急生計支援を」

登録:2020-06-17 10:29 修正:2020-06-17 12:11
移住共同行動、難民人権ネットワーク、移住人権連帯などの移住民団体のメンバーらが、ソウルの大統領府噴水台広場で、新型コロナ事態による緊急災害支援金を移住外国人にも平等に支給することを求めている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 リュ・バン・トゥアンさん(39)の指は曲がらない。昨年4月、金浦(キムポ)のある照明工場で安全教育もなしに鋭い作業機械を扱う仕事に投入された彼は、出勤初日に指を4本失った。縫合手術を受けたが、人差し指と薬指が入れ替わるという医療事故にまで遭った。

 7回の再手術の後も、彼の手は言うことを聞かない。不自由な手でせめて短期雇用を探そうとするリュ・バン・トゥアンさんを受け入れる所はなかった。悪いことは重なり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広まって就職の門戸が閉ざされ、その次は国境が閉ざされた。故郷に帰ろうとしても、リュ・バン・トゥアンさんはベトナム政府の国境閉鎖措置で足止めされ、行くこともできない。京畿道高陽市一山(コヤンシ・イルサン)のある教会で暮らし、やっと生計を立てている彼は、「韓国政府は収入のない移住外国人に対しても緊急生計支援をしてほしい」と語った。

 COVID-19の拡散が約5カ月間続き、移住外国人の苦痛はますます大きくなっている。寄る辺なく他郷暮らしをしている移住外国人にとって、コロナ禍はさらに致命的だ。韓国政府が全国民に支給する緊急災害支援金の支給対象からは、結婚移民者、永住権者などを除く外国人は除外された。長期滞在の移住外国人173万人のうち144万人ほどが災害の死角地帯に追い込まれたのだ。

 政府の手の届かないところから取り組むのは市民社会団体だ。韓国移住女性センターは、「美しい財団」と「パボ(馬鹿)の分かち合い」から1億ウォン(約900万円)の支援を受け、COVID-19で危機に瀕した移住外国人218世帯に対し、「緊急生計費」をそれぞれ30万ウォン(約2万3千円)とマスクなどの防疫物品を渡した。4月1日から10日間にわたりセンターが受け付けた緊急生計費申請書315件をハンギョレが分析したところ、COVID-19で崖っぷちに追い込まれた移住外国人の暮らしがはっきりとあらわれた。

 申請者315人のうち123人(39.0%)が、COVID-19で申請者本人または家族が仕事を失った人だ。30人(9.5%)は仕事が減って収入が減り、11人(3.5%)は賃金が支払われていない。緊急生計費を申請した移住外国人のうち、疾病・障害があると回答した人は99人(31.4%)で、このうちリュ・バン・トゥアンさんのように韓国で「労働災害」を負った人は11人(3.5%)だ。

 エジプト出身の難民申請者ザイードさん(仮名・34)にとっても、COVID-19よりも恐ろしいのは暮らしそのものだ。故国での宗教迫害から逃れ、2016年12月に家族とともに韓国に来た彼は、全羅北道益山(イクサン)のある農場で野菜の梱包仕事をしながら妻と幼い子ども2人の生計を立ててきた。しかし昨年、激しい肉体労働のために膝と腰の手術を受けなければならなかった。

 教会と救護団体の助けを受けて辛うじて生活していたが、COVID-19が国内に拡散した後、ザイード家族に向けた救護の手は遠のいた。ザイードさんは「家賃は2カ月分(約7万2千円)滞り、食べ物といえばわずかに残った米しかない。もうすぐ家から追い出されるかもしれない」とため息をついた。

 家庭内暴力の被害などで離婚した結婚移住女性たちも死角地帯に立たされている。緊急生計費の女性申請者209人のうち、78人(37.3%)は「一人親」家庭で一人で子どもを育てている。このうち24人(11.5%)が家庭内暴力の被害に遭い離婚したと答えた。2年前に家庭内暴力に耐え切れず韓国人の夫と離婚し、9歳の娘を一人で育ててきたベトナム出身のファム・ティ・フオンさん(仮名、31)も、COVID-19が拡散した後、一歩も先が見えない状況だ。ファム・ティ・フオンさんは仁川(インチョン)のある肉工場で包装の仕事をし、月に170万ウォン(約15万円)を受け取って家族の生計を立てていたが、COVID-19で仕事が減った。給与が100万ウォンまで下がり、知人からお金を借りて暮らしている。借金は300万ウォンまで膨らんだ状態だ。

 このような状況にもかかわらず、京畿道富川市(プチョンシ)や安山市(アンサンシ)など一部の自治体を除く大半の自治体すら、移住外国人を災害支援対象から外している。一定の条件を備えた短期移住労働者や移住民にも災害支援金を支給するドイツ、ポルトガル、カナダなどとは対照的だ。日本でも3カ月以上滞在している外国人登録をした移住民を含め、全国民に1人当たり10万円を支給している。韓国移住女性人権センターのホオ・ヨンスク代表は「COVID-19の流行が収まっても、経済危機は続く。政府は社会的弱者である移住外国人に対する緊急生計支援を検討すべきだ」と話した。

カン・ジェグ、イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/949691.html韓国語原文入力:2020-06-17 07:20
訳C.M

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