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民弁、「柳京食堂の従業員を北への帰郷で懐柔」報道に「悪意あるでっち上げ」反論

登録:2020-05-23 07:00 修正:2020-05-27 18:23
2016年の総選挙を控えて脱北した柳京食堂の従業員たち=統一部提供//ハンギョレ新聞社

 民主社会のための弁護士会(民弁)が、民弁と韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が2016年の総選挙を1週間後に控えて、12人の従業員と集団で脱北した柳京食堂の元支配人など脱北者たちに再越北(再度北朝鮮に渡ること)を勧め、後援金を支援したという「朝鮮日報」などの報道に対し、「事実ではない」と反論した。

 民弁は22日、「北朝鮮の海外食堂従業員の脱北事件関連報道に対する立場」を発表し、「民弁は、当該事案が国家機関の違法な権力乱用とこれによる重大な個人の人権侵害とみて、事件発生直後から法律支援TF(タスクフォース)を構成して活動してきた。しかし当事者または関連者に生活支援金をはじめ金銭を支給した事実はない」とし、「ただし、(当該事件を担当した)TF所属の弁護士が従業員と支配人から数回経済的困難を訴えられ、個人的または周辺知人の助けを借りて生活費の足しにと個人的に金銭を渡した事実を確認した」と述べた。民弁はまた「この過程で当事者に再越北を勧めたり、提案した事実はないことを確認した」と付け加えた。

 これに先立ち、「朝鮮日報」は21日付で、柳京食堂の元支配人ホ・ガンイル氏(40)にインタビューした内容を報じた。当該記事でホ氏は「挺対協と民弁の関係者たちが2018年ソウル麻浦(マポ)や京畿道安城(アンソン)の『慰安婦』被害者の憩いの場に出て、柳敬食堂出身の脱北従業員の一部を招待し、北朝鮮に帰ることを勧めた」とし、「その話を受け入れなかったが、今度は後援金としてお金を手渡した」と主張した。同記事でホ氏は、憩いの場などでユン・ミヒャン前挺対協代表(共に市民党比例代表当選者)とその夫のキム・サムソク氏とも会い、この会合後、民弁所属のC弁護士を通じて毎月50万ウォンずつ300万ウォン(約26万円)が送られてきたと主張した。ホ氏は「C弁護士に出処を尋ねると、『民弁はお金がなく、政府はあなたたちの面倒を見ないから、挺対協が後援金をあげるのだ』と言った」と主張した。

 民弁は立場文で「(脱北した従業員たちが)入国後約2年間基礎生活受給者として生活していたため、困難があるだろうから、TF所属の弁護士たちが一度会ってみたらどうかというある記者の提案で、従業員たちに会って安定した生活支援の案を模索していたところ、良心囚後援会でこの話を聞いた後援会所属のキム・サンソクさんとも知り合った」とし、「憩いの場で生活するキル・ウォノクさんの故郷が平壌なので、ハルモニ(おばあさん)と会って食事でもしてほしいという趣旨で席を設けた。その場でユン前代表とキム・サムソク氏にも会った」と説明した。当時、憩いの場にいた当事者も、この事実を確認した。当時、憩いの場での会合に参加した韓国キリスト教教会協議会(NCCK)所属のP牧師は21日、ハンギョレとの電話インタビューで、「NCCKを通じて北朝鮮にいる脱北女性従業員の家族が送った手紙などを届けた縁があった」とし、「脱北した従業員たちは韓国に来てから2年がたったが、生活が困窮しており不安が大きかったため、平壌(ピョンヤン)出身の『慰安婦』被害者キル・ウォノクさんと過ごす時間で少しでも癒してもらえればという思いで作られた席だった」と話した。

 民弁は、「当該疑惑と挺対協とは関連性がない」と反ばくした。民弁は「キム氏と良心囚後援会のほかの会員1人が、個人口座を通じてC弁護士に後援金を送金し、C弁護士がホ氏と従業員に送金したのがすべて」だとし、「TFや民弁レベルで法律支援以外の支援金を支給した事実はなく、二度にわたる後援は挺対協と無関係」だと強調した。C弁護士も同日、ハンギョレとの電話インタビューで、「キム・サムソク氏個人のお金であり、挺対協の金を送ったわけではない」と反論した。

 ハンギョレが入手したC弁護士の通帳入出金内訳によると、C弁護士は2018年9月から翌年9月にかけ、ホ氏と脱北女性従業員3人に計820万ウォン(約70万円)を送金した。C弁護士はキム・サムソク氏と活動家のT氏からそれぞれ100万ウォン(約8万7千円)と150万ウォン(13万円)を受け取り、同じ額をホ氏と脱北女性に渡したことが確認された。 C弁護士は「キム氏とT氏が数回支援しており、残りはすべて自分の個人資金で支援した」と説明した。

 民弁は「ホ氏は自らマスコミとのインタビューを通じて入国前に国家情報院(国情院)の情報員の役割を果たしており、国情院の要求によって集団入国に重要な役割を果たした人物」だとし、「昨年10月には強要と脅迫、逮捕と監禁などの疑いで検察に追加告発されたこともある」と述べた。民弁はさらに、「誰よりもこの事件に大きな責任があるにもかかわらず、海外に亡命し、この事件についてはいかなる責任も負わず、マスコミを通じて無責任な言動ばかり繰り返している」とし、「入国の経緯が明らかにされないまま、基礎生活保障受給者として貧しい生活を余儀なくされている当事者たちに、『慰安婦』被害者のハルモニたちと食事を共にする場を設けて慰労を受けるつもりだった。それが麻浦の憩いの場訪問の真相だ。虚偽の事実を繋ぎ合わせて、真相究明が必要な事案を悪意的に利用する行為に対して厳重に警告する」と述べた。

 ホ氏が「越北を促されて断った」と主張した内容も、ホ氏が別のメディアのインタビューで明らかにした内容と矛盾する。2018年7月、ホ氏は「聯合ニュース」とのインタビューで「私は北朝鮮に行って処罰されることがあっても故郷に帰る。現在、連絡を取り合う女性従業員の一部も皆、故郷に帰りたいと言っている」と述べた。これはホ氏が憩いの場で、民弁弁護士や挺対協関係者らと会う前の話だ。ハンギョレはホ氏に説明を聞くため数回接触を試みたが、連絡がつかなかった。

カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/946075.html韓国語原文入力:2020-05-22 14:41
訳H.J

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