梨泰院(イテウォン)のクラブを中心とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染が、学習塾など生徒がよく訪れる場所にも広がったことを受け、韓国教育当局が学習塾に対して遠隔授業を強く勧告した。ただし、20日に高校3年生から始める登校授業は予定通り行うと発表した。その代わり、ミラーリング授業(クラスを分け、半分は通常の授業、半分は画像を中継する方式)など、様々な形の登校授業方式を採用し、防疫を強化する方針だ。
パク・ペクポム教育部次官は14日に開いたブリーフィングで、学校関係者の梨泰院訪問現況調査結果を公開した。先月24日から今月6日まで梨泰院のクラブを訪問したネイティブスピーカーの補助教師は34人、教職員は7人だが、このうち40人がCOVID-19検査の結果、陰性判定を受けており、1人は現在検査が行われている。また、同期間に梨泰院を訪れたネイティブスピーカーの補助教師や教職員は880人で、このうち524人が陰性判定を受け、117人は検査中だ。梨泰院の地域・クラブと関連し、感染者と接触したネイティブスピーカーの補助教師・教職員は11人と確認された。
このように集団感染の拡大への懸念が高まっているが、教育当局はこれ以上の登校延期は考慮していないという立場だ。パク次官は「高校3年生の登校授業日程の延期は検討しておらず、他の学年に対しても状況を見守っているが、延期は検討していない」とし、「市道教育庁で登校授業と遠隔授業を並行するなど、地域の実情に合う創意的な登校授業の運営案を作っている」と明らかにした。教育部は学年別の隔週制・隔日制授業やミラーリング授業など、登校授業と遠隔授業を並行する「ブレンド型学習(Blended Learning)」や、短縮授業の運営などの案が可能だと提示した。ただし、学校に直接通達する指針はなく、登校授業の具体的な運営方式を、完全に市道教育庁と学校の判断に任せることにした。学校給食についても、午前だけの授業ではなしにするか、代替食・簡易食を提供する方法で児童・生徒たちの間の距離置きを維持するなどの案を市道教育庁と協議したと発表した。
ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は「学校や塾では入試を控えている生徒に症状が表れても休まない可能性がある」とし、「オーストラリアは1週間に1度だけ登校し、残りは遠隔授業を並行する方式で密集度を下げており、ドイツも1クラス当たりの学生数を10人に減らした」と述べた。防疫当局が教室内の密集度をどれほど下げられるかを計算してから、それに合わせて対応計画を立てなければならないという意味だ。
これに先立ち、同日午前、ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官やソウル市のパク・ウォンスン市長、ソウル市教育庁のチョ・ヒヨン教育監は緊急会議を開き、今週末に学習塾など大衆利用施設に対する集中取り締まりを実施するなど、防疫を強化する対策を話し合った。ユ副首相は「特に塾に対する緊急な迅速対応措置が必要だ」とし、塾業界に遠隔授業を強く勧告し、生徒や保護者には利用を控えるよう呼びかけた。防疫指針を守らない学習塾には、集合禁止命令などを下すことにした。「高いレベルの社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」が「生活の中の距離措置」に切り替わった中ではあるが、塾に関しては従来のレベルで防疫状況などを点検する方針だ。一方、登校停止期間であるにもかかわらず、実技授業などを理由に生徒たちを登校させたことが明らかになった学校に関して、教育当局は実態を点検し、その結果によって監査などの後続措置を取ることにした。同日、ソウル市教育庁は管内の芸術系特別目的高校6校に対して緊急点検を実施しており、登校中止期間に生徒を登校させたことが確認されたA高校と同じ財団のB中学校に対して14日に特別点検を実施すると発表した。